民主制か独裁制か
佐々木 一也(RSSC本科ゼミ担当教授)
本科ゼミおよび講義科目を担当している佐々木一也と申します。私の専門は哲学です。哲学(philosohpia)は古代ギリシャで始まった論理的世界理解の方法です。私は多感な中高時代を1967年から72年にかけて経験しましたが、当時の左翼勢力と保守勢力の激突による騒然とした社会や学園紛争を経験し、動かぬ確かな価値や世界観の獲得が不可欠と思い至り、大学で哲学を志しました。それから半世紀以上の年月が流れましたが、今では私なりに確かな世界観構築の方法を会得したと思っています。今、世界はウクライナ、パレスチナをはじめとする戦争に苦しみ、国連の無力化によって解決の糸口さえ見つからない状態です。そのような中で、日本が1945年の敗戦という多大な犠牲と痛みを伴って身につけてきた民主制が揺らいでいます。戦争や対立が続く中で、日本近隣のロシア、中国、北朝鮮をはじめとした独裁制の国々の存在感が増しています。最近では民主制の代表格だったアメリカさえトランプのような人物を大統領に選出して、その独裁的性格に期待して「効率よく」アメリカだけの利益をむさぼろうとしています。コスパ、タイパ、エネパが重視される昨今で効率を合理性の目的とする哲学を構築することも可能です。哲学ができますと、それが社会に実装され、その論理に沿った社会装置が作られて人を動かします。哲学は人と社会を動かす原理なのです。恣意性に基づき非合理だった独裁制は今や合理性の哲学を伴って民主制に挑戦してきます。民主制の哲学は危機に瀕しているのです。私の授業では生活に直結する様々なテーマについて皆さんと論理的に討議しながら、社会に実装されている様々な哲学を知り、それに対する哲学的対処法を一緒に考えます。
この記事の投稿者
最新の投稿記事
HCD20252025年10月9日【HCD特別寄稿】西原廉太学長からのご寄稿
HCD20252025年10月9日【HCD特別寄稿】水上徹男先生からのご寄稿
HCD20252025年10月9日【HCD特別寄稿】野呂芳明先生からのご寄稿
HCD20252025年10月9日【HCD特別寄稿】上田信先生からの先生からのご寄稿