近況報告

野田 研一

 2020年1月31日、青山で開催されたある写真展で、「風景の誕生を求めて」という短い講演をしました。私たちは「風景の誕生」の現場にちゃんと立ち会っているか、と問うフランスの哲学者の発言をベースに話をしたのですが、この日を最後に2021年9月29日まで池袋へは1回、その他都内に1回出かけたのみでした。そして2021年9月30日木曜日、セカンドステージ大学のゼミが対面で再開されました。この間の私の「自粛ぶり」はかなり徹底していたかも知れません。

 ちなみに、セカンドステージ大学はこの4月から基本対面で開講されています。木曜日は池袋を大学に向かって歩いているわけです。教室では換気に気をつけてドアや窓を開けっぱなしですから、隣の教室の拍手や外を走る緊急車両の音が飛び込んできます。たまに体調が悪くて登校できないという方がいれば、オンラインとの併用となります。Zoomなどのシステムがよくもコロナ禍に間に合っていたものだと感心しながらも、ときどきセットアップなどがうまくいかなくなって冷や汗をかいたりします。

 2020年度と21年度には中国の大学での集中講義が予定されていました。コロナ禍で出講はなくなったなと思っていましたのに、急にZoomでやってくださいとの連絡がきてかなり慌てました。中国へ行くことを愉しみにしていたのに、それができなくなって、それでも授業はやるというのは、不条理そのもの。旅の愉しみが失われ、さらに学生さんと触れ合うことも中華料理もないZoom時間があるだけ。結局、コロナ禍は続き、21年度もZoomでした。海外の大学での授業が自宅でできるこのすごさには驚愕を禁じ得ませんが、とはいえ、もはや「風景の誕生」など論外と言わねばなりません。心になにも残らないZoom的風景あるのみでした。

 

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