この夏は猛暑が続き、最高気温が各地で更新し続ける記録的な年となった。予報では、10月中旬頃まで暑さが続くというが、この気候で熟睡できず夜中に起きてしまう事が多くあった。皆さんは「眠れぬ夜」は、どう過ごされているでしょうか?

素早く眠りにつく秘策をお持ちの方がいらっしゃるかもしれませんが、多くの方は気分転換に、本を読む・画集等を見る ②音楽を聴く ③黙って目を閉じる。④水を飲む又は、薬を服用する。⑤睡眠を諦め眠くなるまで起きている。等々お試しでしょう。

そんな時、私はNHK「ラジオ深夜便」1:00~5:00の放送に耳を傾けている。「深夜放送のラジオ」といえば、「ザーザー」と電波が悪い深夜放送を聴きながらの勉強をした頃を思い出すが、今やアイパットを寝床に忍ばせて快適に視聴し、聞き逃し配信なる便利なサービスは、期間中に何度も聴くことが出来きる。

「ラジオ深夜便」は、  https://www.nhk.jp/p/shinyabin/rs/V34XVV71R2/
午前1時台 (深夜便アーカイブス) 過去に放送された対談 
午前2時台 (ロマンチックコンサート)ビンテージ・ポップス、ロック、クラッシックなど
午前3時台 (にっぽんの歌こころの歌)昭和歌謡曲・往年の名歌手、作曲家、作詞家、年代別のヒット曲等、それぞれの特集 午前4時台 (心に花を咲かせて アンコール)講演会・インタビュー。 

盛り沢山の内容に、引き込まれ年代別の邦楽・洋楽や懐かしい曲に触れては、当時の想いに浸り朝まで聴いてしまう。過去に放送された対談で、ついつい聴いてしまった印象深い話を紹介したいと思う。放送は、一昨年に深夜便アーカイブスで「認知症と認定された父親を介護した(息子)体験談」だった。地域総括支援センターの支援員が認定調査に来た時の事、相談員は色々な話をして状態を確認する。

「○○さん、今日の朝ご飯は何を召し上がりましたか?」朝ご飯と言えば、「熱々のごはん・豆腐の味噌汁・鮭の焼き魚・ほうれん草のお浸し」とスラスラ答える。ここまで聞いていると、しっかりされていると思ってしまう。しかし、相談員は「認定されますね」。支援員が求めそうな答えをしているとの返答。実際に食べた物はトーストで「お風呂は入っていますか?」との問いに、「お風呂は、薪で焚いているので」と昔の記憶で話していたという。

『いつの時代の話?』と思わず笑ってしまったが、87歳で突然、生活の全てをやっていた妻に先立たれ、朝6時にはご飯を食べると椅子に座っているだけ、今までお金の管理や何もしていなかった父親を、「認知症」の判断基準で確認したのだ。

認知症とは、自立できない状態である事。ラジオで紹介された父親は自分の銀行口座すら知らないし、薬の管理も出来ない。身の回りの事は、すべて妻がやっていたので、もともと父親は自立しようとしていなかった事に気付き、介護を必要としている父親との同居生活を通じて、父親の行動から父親への理解を深めていく内容だった。その中でも「忘る(ワスル)」の解釈が印象的だった。

「忘れよう」と意志を持つことは、忘れられないということの確認であり、何かを忘れたい場合はそのことを「忘れよう」とするのではなく「忘れられた」ことにする。意志を介在させずに「こと」を消去する。言い換えると、とぼけることでボケるわけで、おそらく父もそうやって生きてきたのではないか。もしかすると父は、「ニンチ」(認知症)ではなく、「ニーチェ」(哲学者)だと思えば父への理解も深まると結んでいた。

なるほど、捉え方次第で楽に生きられるのだ。季節も移り、秋の夜長に「眠れぬ夜」の夜更かしも良いのかもしれない。(7期生 梅本)

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