2025RSSCホームカミングデーに寄せて

                                     箕口 雅博

   私は2015年度より、「アドラー心理学を学ぶ/実践に活かす」というタイトルの講義を通してRSSCの皆さまの仲間入りをさせていただいておりましたが、この春学期の講義が私の最後の授業となりました。

 アドラー心理学は、オーストリア出身の精神科医・心理学者であるアルフレッド・アドラー(1870-1937)が創始した人間理解と援助のための心理学です。心理学の世界では、フロイト、ユングと並び称される巨匠のひとりです。アドラー心理学は、①個人の主体性を重んじていること、②原因にこだわらず未来について考えていく解決志向であること、③人と人との対等(ヨコ)なつながりと協力関係(共同体感覚)を大切にしていること、などの特徴から多様な対人支援場面だけでなく、日常の人間関係、育児や教育、そして自己啓発の場面にも活かせる実践的な心理学だと考えています。アドラーは、「心」より「関係」を重視し、『人間の悩み・問題は、すべて「対人関係」の悩み・問題である』と述べています。つまり、対人関係の悩みや問題を改善したり、支援のあり方をよりよいものにしていくためには、相手の「心」を分析するよりも、自分と相手の「関係性」を理解しようとすることが大切であり、対人関係の問題の解決とは、「いかに良好な人間関係を作りながら、相手としっかり対話できるか」ということがとても重要になります。

 講義のみならず、グループによるワーク(話し合いや協働作業)中心の授業を通して、受講生の皆さんが、人と人の「かかわり」や「つながり」についての体験的理解をともに深めるきっかけとしていただけたのではと自負しています。

 さて、RSSC「アドラー心理学」を受講した修了生を中心に2019年3月から勉強会がスタートしました。そして、2021年7月にはRSSC同窓会の同好会・研究会のひとつに登録され、「RSSCあどらーカフェ」として100名を超える会員の皆さんとともに、人間関係の改善だけでなく、社会貢献活動に活用できるアドラー心理学を目指して活動しています(活動の詳細につきましては、https://rssc-dsk.net/circle/adlerを参照ください)。カフェは、アドラーがウィーンで仲間たちと毎晩のように対話と意見を交わした場です。私たちの「あどカフェ」も、仲間の皆さまとともに「かかわり」と「つながり」を深めていける場でありたいと思っています。

この記事の投稿者

編集チーム 十七期生