危険な暑さ、猛暑日などという言葉が飛び交い始める前の5月頃に、私の手元に一通の葉書が届いた。東京都公安委員会からのハガキで、「あ!もう5年たったのかな!また免許の更新の時期が来たらしい。車も持っていないのになぁ。それにしても8月が誕生月なのに、随分早いなぁ・・」などとつぶやきながら、折りたたまれたハガキをそっと剥がして開いてみるとそこには「高齢者講習の受講」と書かれていて、『免許証の更新満了日の年齢が70歳以上になる方で、免許証の更新を希望される方は、更新手続きの前に、高齢者講習を云々…』
えっと、私は今年その年齢になるのかしら?などと恍けてみても仕方ない。69歳で更新したら74歳までは高齢者講習は免れるのか⁈という疑問もわくのだが、まあ素直に現実を受け入れるとして、よく読んでみるとその高齢者講習の手続きが結構めんどうくさい。自分で教習所に予約してお金払って、簡単な適性検査と講義と実車指導合わせて2時間以上の拘束を経て修了証明書なるものを手に入れる必要があるらしい。
ここで私は、現在車を持っていないのになぜ運転免許証が必要なのか、冷静に考えてみた。車が有った頃にはあっちこっち運転して回っていたが、訳あって車のない生活に入ってもう15年ほどたつ。その間身分証明書の代わりに!何かあった時に!と、何となく当たり前に更新を続けていたが、マイナンバーカードが主流になって以来、免許証を出して何かを証明をする機会もめっきり減った。もちろん何かあったことなども全く無い。免許証を持っているメリットを感じなくなったのだから、この際返納という手もあるかな…と思い始めて、周囲の方々のご意見を伺うことにした。
私の子供たちは当然のように返納に大賛成。母親が車もないのに運転免許を持つ必要は全く感じないらしい。一方同年代の仲間からは、まだ早いんじゃない!と、現役で車を運転して千葉の実家に帰ったり伊豆にゴルフに行ったりしている。与えられた正当な権利や可能性を自ら狭める必要はないでしょう!と言ったご意見も頂いた。
年齢を重ね、あらゆる能力が明らかに低下していることは実感していても、あまり認めたくない現実ってあって、車もないのに運転免許証を持っているのも、何かこう浮き輪にすがって浮いているみたいなあがきの一種なのかも知れない。かといって大人の証として長年持ちなれた免許証と一生の別れをするのにも一抹の裏寂しさがある。などとウジウジしている自分自身も潔くない。こうして、どうしたらよいものか迷って悶々と2か月が過ぎて行った。
そして経験したことのない猛暑がつづく7月30日。高齢者は危険外出を控えて!と、毎日のように警告されて自宅に閉じ込められている閉塞感に我慢できず、私はついにまっ昼間の11時、その暑さに挑むべく、ネッククーラーを装着して調布警察に自転車を走らせた。高齢者の逆走やブレーキの踏み間違いによる悲惨な事故が毎日報道される中、自分だけは大丈夫!と思っている危険運転者予備軍は多いと思うが、意を決して運転免許自主返納を決行した私は、そういう仲間にならなくて済んだという事になるのかな。
まあ、そもそも危険運転者予備軍にはその自覚が無いから危険なのだが…。返納をすると顔写真入りの「運転経歴証明書」なるものが頂けて、これを提示すると色々なおまけがついてくるらしい。とり多津のから揚げが10%引きとか…。まあ、あまり深く考えず無邪気に素直に提供されるサービスを楽しむことにしよう。
子供さんやお孫さんに、もういい加減に返納した方が!と勧められていても、自分だけは大丈夫!と過信している方は居ませんか!?(7期生 梅原)
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