5期生 森 英樹(三鷹市在住)

本年1月で71歳を迎えた私は昭和27年、栃木県那須郡野崎村(現在の大田原市)で森家の3男として生を受けました。やがて「18歳になったら家を出る」のは当然のことでした。家業は次兄が継ぎました。

東京に出てから、某企業に入社し半導体部門に配属され、そして関連会社で定年を迎えました。一貫して半導体に関わってきました。妻をめとり井の頭にて35年過ごし、下連雀に移り住んで5年ほど経ちます。
幸いにして二人の息子は独立し、孫も5人できました。
定年後は、立教セカンドステージ大学に入学し、セカンドステージの「生き甲斐創造」と「社会貢献」、そしていわゆる「学び直し」がカリキュラムの狙いでありました。
授業を受ける中で教授から言われた言葉が忘れられませんでした。“本校に通うあなた方は恵まれている。地域、人々の役に立つことを実践しなさい”と。
そして現在は、シルバー人材センターのお世話を受けて某大学の図書館で週3日ほど働いています。
週3日の勤務は、生活のリズムにも役に立っています。
 曽野綾子さんの著書「老いの才覚」によれば、歳はとっても人の役に立っていれば、“現役”であり、老いの基本は、他人に依存しない自分の覚悟にて生きること、身の丈にあった生活をすること、だそうです。

加えてご参考に記します。
現在昭和女子大学総長である坂東真理子さんの著書「女性の品格」が330万部のベストセラーとなりました。数年前には、高齢者に必要なのは『たしなみ』ではないかと考え、著書「70歳のたしなみ」を発表しました。その内容をご紹介いたします。(詳細は著書をお読み頂ければと思います)

70代というのは新しいゴールデンエイジ=人生の黄金時代である
最も人生で幸福なのはいつごろか―と問われたら、現代では70代ではなかろうか。
人生100年時代が現実となり、まだ多くの人は健康である。運悪く病気やケガで介護を必要とする人もいるが、大多数の人は、自分で動き回ることは出来るし、しっかり判断することができる。まだ家族を支え、友人を助ける力もある。しかも、30代、40代の頃のように仕事や子育てに追われることもなく、50代、60代のように人生の新しいステージに対する焦りや不安も少なくなっている。

何はともあれ、今まで生き延びてきたのは健康や幸運に恵まれたからである。
支えてくれた人に感謝し、一日一日の新しいチャレンジに心を躍らせる。自分の人生を少し高い視点から俯瞰し、総括する境地に立って、続く80代や90代に備える心の用意ができる時代である。
かつては60歳が還暦として人生の節目とされたが、今は70歳が人生の節目であり、次のステップへの出発点になるのではないか。

その70代を、人生70年時代の先入観のまま晩年を生きるのはあまりにももったいない。
そろそろ人生のイメージを変え、そして何よりも私たち70代にかかわる後ろ向きのイメージを変えることが必要である。それによって、私たちよりポジティブに毎日を暮らせ、楽しい人生を生きることができる。
そして「もう」70歳だから「今さら」何をしても遅すぎる、「どうせ」成果は上がらないと自分を貶めるのは金輪際やめよう。
失った若さや体力を数え上げるより、今持っている力を数えて感謝する、人に少しでも役に立つよう行動する、それが私たち高齢者のたしなみである。

■人生の後半期を晩年としてではなく、たしなみを持って希望と共に生きていくには何が必要か。
①機嫌よく過ごすように努める。
②年齢を言い訳にしない。「今さら」「どうせ」「もう遅い」と言わないで、まだまだ成長の余地があると考える。
③今まで受けた恩を思い出し、感謝を忘れない。
④できる時にできる範囲で人の世話をする。
➄周囲の人、若い人の良いところを見つけて褒める。
⑥キョウヨウとキョウイクは自分で作る。=「今日は用がある」「今日は行くところがある」
⑦人は人、自分の人生を否定しない。辛い経験があったからこそ今がある。
⑧今こそおしゃれを。
⑨健康第一もほどほどに。
⑩孤独を楽しむ。

―以上―