4期生会、東北ツアー寄稿文
RSSC4期生は、ご既承の通り、2011年3月11日(金)14:46に東日本大
震災が発生した同年に入学しました。震災の影響により式典はなく授業の開始は、遅
くれること5月に入り連休明けでした。学び直しの学園生活は、学年暦に沿って1年後
に本科を、進級希望者の専科は2年後に履修課程を修めました。この間、大災害を受け
た東北三県:岩手、宮城、福島に関し、その復旧、復興の進捗状況はまちまちでした。
この忌まわしい記憶をとどめることと身近な注意喚起の意味合いから、さる9月11日
に公共放送では、3月11日の節目に合わせ“いつか来る日のために 被災地支援”と
題した特番を放映しておりました。番組では善意の形として手元の金員、物資支援より
始める物的なこと、ボランティア参加を募り現地に赴き、出来る人が出来る範囲で支援
を行う人的なことがある中で、物的なことには、震災後に各地から届いた物資に保管が
おいつかず、自治体等によっては嵩む倉庫費用とオフセットで物資の一部を焼却処分し
た事例を紹介しておりました。善意の目的が浸透しきれませんでした。
このような背景や教訓を生む中で4期生会役員会は、今回の東北ツアー計画にあたり
被災地に向き合う形で取敢えず行ってみる。寄り添ってみる。感じ合ってみる。という
思いからイベント企画をスタートし会合を重ねました。基本プランとして各人が仙台駅
へ集合、被災地にいくばくでも資する行程等とする。一泊二日とするも日帰り可としコ
―スの骨子は次の通りにしました。
1日目 9月25日(火)
仙台駅集合→山元町・昼食、語り部さん合流→ツアーのメイン、被災地現場、復興現地の視察、
地元での買い物→岩沼市交流センターにてビデオ視聴、千年希望の丘視察→松島海岸のホテルへ。
2日目 9月26日(水)
日本三景松島遊覧船観光→国宝・瑞巌寺参詣→昼食→青葉城祉公園散策→仙台駅→
各自帰宅の途へ。
そして広く参加者を募った処、総勢27名を数えることができました。今回のツアー
の特筆すべき点は今期役員の一人の知遇を手繰り、地元の震災語り部(渡辺)さんを招
聘できたことでした。被災地現場を山元町一点に絞った理由がここにありました。昼食
を摂る集会場「幸街堂」で合流しました。同施設は、地元で飲食店の起業を志す人が試
作品を供して、その反応を探る実験店舗も兼ねておりました。今回は被災者の一民家が
生業として弁当屋を営んでいる弁当を美味しく食しました。
山元町は、東は太平洋に面し、西は山塊を抱き、最南部は福島県に接してました。語り部
(渡辺)さん自身も自宅を津波で消失、当時は山元中学校長に奉職中。生徒の中にも津波に
呑みこまれた下校途中の教え子がおりました。ご自身ももし地震が土曜日に発生したらマイ
ホームとともに海の藻屑となっていたと。正に修羅場をくぐった生き証人でした。朴訥とした
語り口は力むこともなく緩むこともなく、地獄絵図を述懐する時の感情移入は熱し過ぎず、醒め
過ぎもせず達観の境地のようでした。「今も後遺症に悩む一人でも多くの人を助けたい」
という一心で身を粉にして復興支援に取り組んでいること。「兎に角人口13,000人、
いちご、りんご、ほっき貝などを特異の産品に育ててこの人口減少を食い止めたい」と
語り部(渡辺)さんは復興に向けた人々の歩みを、その現状を詳らかにされました。
近、未来へつながっていく道筋に希望を託して締めくくられました。
参加者一同には、現場を目の当たりにして心の琴線に触れること多々あ
りました。更に岩沼の「千年希望の丘」に進みました。海抜10mの第
二避難台に昇りました。遠く大海原を見渡せました。あの日、大きな牙
をむいた怒涛は、今は、ひたすら大人しく単調なさざ波を繰り返すばか
りでした。
一日目の行程を終えて宿泊先のホテルに到着。一日の疲れを露天風呂も備わった出湯
で癒しました。各人が嗜好に合わせた食膳が彩られました。味覚を楽しみました。美酒
を汲み交わし乍ら会話も弾みました。いつしか窓外の松島湾に漆黒の帳が下りました。
翌日は、曇天ながら時折、日が差す天気の中、芭蕉も詠んだ松島のクル―ジングをし
ました。大小260の島が点在する隙間を縫った遊覧でした。国宝・瑞巌寺の参詣は、
外国人観光客も混じり賑やかなものでした。11月には、境内の一部建物が平成の大修
復を終え落慶が控えておりました。仙台城(青葉城)は、もはや往昔を偲ぶに城郭はな
く本丸跡には、眼下に高層ビルが林立する仙台市内を臨むように仙台藩祖、伊達政宗騎
馬像が悠然と佇んでおりました。戦国時代の風雲児・政宗の生涯を描いたNHK大河ドラマ
『独眼流政宗』が放送されたのが1987年。いまから30年前のことでもありました。
こうして、4期生会・東北ツアーは、無事にスケジュールをこなしま
した。
従来の秋合宿とは、趣向を変えた今回のイベント企画は、東日本大震災
の記憶を一過性にしてはならないことと言う共通の意識を育みました。
また足を運ぶこともよさげでしょうか。
そしてそれぞれが夫々の旅の思い出を胸に抱きつつ、土産品もたんと買
って、仙台駅をあとにしました。
皆さん、御疲れさまでした。ありがとうございました。
(追記)
9月27日(水)5時22分、相部屋の地震アラートがけたたましい鳴音を発して
目覚めました。岩手県に震度4、マグニチュード6.0の地震が発生しました。ここ宮城県南部でも震度3の揺れでした。
日々の教訓
自然災害を正しく理解し正しく恐れ、判断と行動ができるように学ぼう。
了
( 記 大堀 )
この記事の投稿者
最新の投稿記事
- 四期生会2019年10月13日【4期生会】「秋の信州一泊旅行」(10月3〜4日)開催報告
- 四期生会2019年6月29日【4期生会】RSSC杯争奪カルタ大会開催(2019年6月20日)
- 四期生会2019年3月20日【4期生会】2019年度役員及び年間行事予定のお知らせ
- 四期生会2019年3月12日【4期生会】総会開催(3月9日)のご報告