以前にも書いたが、昨年(2025年)の1月から、長年の趣味として、そして近年ではライフワークとして楽しんでいた「健康太極拳」を週に1回90分、コミュニティ・カレッジ(いわゆるカルチャーセンター)で教えることになった。生徒から指導者(講師)への昇格?であった。
一方、定年前の現役時代から約20年、不定期ではあるが週に1日程度、ある非営利の教育機関で、自己研鑽も兼ね、キャリア・コンサルタント(カウンセラー)養成講座の演習講師を務めさせていただいてきた。従って、昨年は全く異なる分野での、いわゆる「二刀流講師」の役を演じることになった。
曲がりなりにも講師を引き受ける際には、常に大事にしている言葉があった。山本五十六が残したと言われる「やってみせ 言って聞かせて させてみせ ほめてやらねば 人は動かじ」である。太極拳でいえば「見取り稽古」、カウンセリングでいえば「モデリング」で、まずは目で見て、イメージをつかんでもらう「観察学習効果」を大切にしていた。
そんな中昨年、全盲の方がカウンセラーを目指し、養成講座を受講された。視覚を頼れず、主に聴覚を頼りにカウンセリングスキルを学ぶこととなった。AIでもカウンセリングが出来ると言われる時代であるから、視覚が不自由であっても十分カウンセリングができると思われるが、視覚から得られる情報は多岐にわたり、例えばクライエント(相談者)の外見、表情や視線、そぶり、姿勢等から得られる心理的状況が分からないという不利な点がある。
カウンセリング技法や理論の学習の際にも、主に聴覚からの情報を頼りに習得する必要があり、相当の努力が求められる。白杖を使用しての通学だけでも大変であるのに、子育て真っ最中とのこと。それでも困っている人の為に、特に障害のある人の為に、何か役に立ちたいとの強い意志で、カウンセラーを目指すとのことであった。幸いにも受講生仲間から必要な支援を受けながら、和気あいあいとした雰囲気の中で、同じ目標に向かって、他の受講生と切磋琢磨しながら学習に励んでおられた。講師としても、説明や解説を普段よりゆっくり丁寧に行なった。
今回、受講生からも多くのことを学んだ。特に聴覚、触覚(皮膚感覚)の重要性とそれらの感覚が、一定程度視覚の代わりを果たせること。カウンセリングの基本である傾聴の態度や技法を学ぶ際にも、視覚が不自由でも聴覚を意識し、応答の仕方、言葉遣い、声の大きさ、話すスピード、抑揚等に注意を払いながら、普段通りにモデリングを行い、丁寧な説明、繰り返しの練習、できたことに対する承認・励ましを行なうことで、十分な学習効果が得られることを学んだ。
太極拳講座においても、「体の動き」(視覚・外面)に注意が向きがちであったが、本来の健康法の本質である、「心」と「呼吸」(体の内面)の重要性を再確認する良い機会となった。「気を意識し、力でなく意念を運用する」(気とは、東洋思想・中国医学では血液のように体を巡る目に見えない生命エネルギー)ことと、「鼻呼吸・腹式呼吸で、息を細く長く吐く」ことを大事にしながら、受講生と共に楽しく学んでいけたらと考えている。
(7期生 北原)
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