講座講師 坪野谷雅之
2024年度の秋学期講座『信託機能を活用した社会貢献・財産管理』(堂園昇平担当教員)が終了し、その課外活動として東証見学会と丸の内金融街散策が3月18日(火)に開催された。この講座はRSSCの第1号寄附講座として2018年度から始まり今年度で5年目を迎え、講師は主に三井住友信託銀行OBの各分野の専門家11名が名を連ね、信託業界としても非常に充実したユニークな講座である。私は当講座シラバスの第6回『信託業務機能と投資信託における役割~シニアの賢い資産運用』を担当し、金融資産運用に欠かせない証券運用の理論と実践を身近な事例を以って講義しているので、兜町に所在する日本の株式売買の総本山である東京証券取引所に引率した。同講座の受講生47名の内25名が参加、有意義で楽しい課外活動になった。
同取引所見学は、9時45分に集合後自由に「証券歴史ホール」で証券に関する貴重な資料を見る。10時から係の女性の案内で2階のメディアセンターにおいて株式の取引に関する動画を鑑賞。続いて見学回路でTVニュースでもお馴染みの、天井でぐるぐる回る大きなチェッカーと称する上場企業の銘柄と株価の説明を受ける。早く回る時は取引が活発で遅い時は活発でないと。そして、昔は場立ちの仲買人が手サインで株式の売買を行った大ホールの「マーケットセンター」に下りて、大型スクリーンに『歓迎 立教セカンドステージ大学様』と掲示された前で記念撮影を行った。
好天に恵まれた丸の内金融街の散策ルートは次の通り。兜町から大手町まで徒歩で八重洲口開発中の大型ビルを眺めながら丸の内方面に向かう。壮観な丸の内金融街~三井住友信託銀行~三菱UFJ信託銀行~信託博物館(見学)~日本工業倶楽部~大手銀行本店~東京駅~新丸ビル~丸ビル~丸の内仲通り~三菱一号館~国際フォーラムまでの約1時間。途中私の香港・ロンドン10年に及ぶ海外勤務時代のエピソードも披露する。工業倶楽部に隣接する「信託博物館」は、三菱UFG信託銀行が開設し、私たちが講座で学んだ信託の発祥・信託業務の変遷・ピーターラビットのマスコット等の貴重な資料が展示されており、目で見る信託講座の復習に他ならない。
丸の内界隈は明治23年(1890年)、丸の内一帯を陸軍が三菱社に払い下げられて大きく変貌をとげ、日本を代表するオフィス街へと発展。現在も東京海上ビル等の総合開発が進む。中通りは世界的に有名なファッション中心のショップが並ぶ女性の羨望の的。パリ・ロンドン・ニューヨークに比肩され、美しさではトップクラスではないかと思う。最後の三菱一号館は、1894年(明治27年)に建設された洋風事務所建築で、1968年(昭和43年)老朽化のため三菱地所が解体し2009年(平成21年)に美術館として復元。中庭は憩いの場所として開放(写真参照)。同館1Fレストランは開設当時のメニューでも有名である。12時半に解散し三々五々昼食に向う。 3月末にはトラスト未来フォーラムがご厚意で、例年同様24年度の講義録が『資料集』(約190ページ、カラー印刷)として発行、RSSCラウンジ内の書架に保管されているので是非手に取っていただきたい。信託銀行のイメージは比較的地味で、当講座もやや取っ付き難い講義内容ではあるが、既に多くの信託商品が私たちの身の回りに普及し、特に、シニア層にとって関心の深い贈与・遺言・相続等については、第一線の財務コンサルタントの具体的講義には定評がある。私の口癖の“難しいことを易しく、そして深く面白く!”をモットーに25年度も展開したいと念じる。
(写真はいずれも第17期生内藤保さんのご提供)