立春が過ぎ新しい始まりにちょうど良い時期に、今年最初の勉強会が開催されました。昨年の勉強会は全てZOOM形式の開催でした。副代表の五十嵐さんのわかりやすいZOOM勉強会のお陰でリモート形式の方が適しているのではないかとさえ思い始めていた頃でした。しかし感染対策緩和などの社会変化から、RSSC同窓会登録後初の対面での勉強会計画が立ち上がり、3月11日に顧問の箕口先生他23名参加の勉強会が実現しました。
テーマ「聞くことのちから」
箕口雅博先生の講義から始まりました。
アドラー心理学の中心概念の一つである「対人関係論」あるいは「社会統合論」がある。人間関係の悩みは全て対人関係の悩みである。また、人間は社会的な存在であり、生まれてから死に至るまで、どんな場合でも他者との関わりについて考える必要がある。対人関係に基づき、勇気づけと共同体感覚の相互育成につながる関わりには「聞くこと」が重要になる。過去の勉強会で学んだ“オープンダイアローグ”という対話やコミュニケーションが勇気づけやしあわせにつながる。
「聞くちから」とその回復について [東畑開人, 2022]苦境にある時、誰かが話を聞いてくれる。ただそれだけのことが心に力を与えてくれ、何も変わっていないのに不安が和らぎ考える力が戻ってくる。負担は軽くなり心に本来備わっていた力がよみがえってくる。「聞く」は話していることをそのまま受け取ることだが、今の日本社会は自分の話を聞いてもらうことが出来にくいため「聞く」は「聴く」よりも難しい。
「聞く」は「聞いてもらう」に支えられて「聞く技術」と「聞いてもらう技術」はセットであり両方必要である。「聞くことのちから」は聞いてもらったときにこそ深く実感される。
後半はワークショップ。
「聞くことのくふう」2チーム「聞いてもらうことのくふう」2チームに分かれて実施しました。ブレーンストーミングで出し合い、それぞれがカードに意見を記入し、KJ法で模造紙にまとめグループの代表者が3分で発表しました。
これまでZOOMでもブレイクアウトルーム機能を使い、少人数の意見交換も有効に行われてきましたが、対面でのワークショップをより楽しく体験できるように初めての方法にチャレンジしました。リモートでは体験できない模造紙を使うことで、各グループとも色彩豊かで個性にあふれた図解化に仕上がりました。新たな発見や驚きのアイデアなどの発表を聞き、豊かで多様な工夫が示され、「聞くこと」「聞いてもらう」をすぐにでも実践してみたいと気持ちを動かされた様な気がします。
16時30分から始まった勉強会は18時に終了し、その後、池袋の台湾料理店へ場所を移し参加者20名で懇親会が行われました。自己紹介のあと、壁に張り出した模造紙を見ながら箕口先生から講評をいただきました。どのグループも限られた時間内で見事にまとまっていました。
期を超えて初めてお会いする方が多い会でしたが、美味しい料理に舌鼓を打ちながら和気あいあいと会話が弾み、充実した時間を味わいました。楽しい時間はあっという間に過ぎ、再会を約束して終了しました。
(文:時田淳子)