2024年7月20日(土) 、箕口雅博先生による「コミュニティ心理学 連続講座」の第3講がオンライン(ZOOM)で開催されました。参加者は19名。箕口先生と事務局スタッフのご尽力により、2時間の有意義な講義を受けることができました。介入・支援の方法は、①予防的介入 ②危機介入 ③コンサルテーション ④サポート・ネットワーキング/コラボレーション の「4本柱」があります。①と②を学んだ前回(第2講)に続き、今回(第3講)は③と④について学びました。

■コンサルテーションとコーディネーション

「コンサルテーション」とは、問題を抱えるクライエントを間接的に援助する方法です。コンサルテーションを行う人(=コンサルタント)の役割は、直接にクライエントを援助する人(=コンサルティ)が抱える心理社会的問題の解決を支援することです。コンサルタントには、幅広い心理学領域の専門知識や、コンサルティが理解・納得できるプレゼンテーション能力、信頼される人間性・社会性などが求められます。コンサルタントの援助を受けて、コンサルティが持つ能力が大きく発揮されることで、目の前のクライエントが抱える問題解決と、将来コンサルティの周辺に発生し得る問題の予防に寄与します。コンサルタントは、コンサルティに対して「ヨコの関係」を維持することが重要です。

「コーディネーション」とは、クライエントの援助に必要な専門家に協力を依頼し、連携を図ることです。コーディネーションを行う人(=コーディネータ-)は、援助チームのメンバー1人ひとりと丁寧にかかわり、情報交換の準備や、ミーティングの調整や進行を行います。細やかな配慮と軽快なフットワークが求められます。

■サポート・ネットワーキングとピアサポート・心理教育

「サポート・ネットワーキング」とは、行政・地域の有力者・市民グループに働きかけ、地域社会全体の連携をつくる取り組みです。それぞれの組織で活動するリーダーを支援する「黒子的役割」になります。

「ピアサポート」とは、年齢や社会的条件などが似通っているもの同士が、仲間意識をもって、相互に支え合う活動です。権威的な立場ではなく、仲間ゆえの相談のしやすさから、お互いを尊重し、ケアをしあう風土が醸成されます。

「心理教育」は、グループの勉強会などを通じて、問題や疾患に対応する知識や、予防のための介入方法の一つです。参加者同士が「ヨコの関係」で問題や対処方法について話し合うことで、心理的な負担を軽減しながら、対処方法の知識のバリエーションを拡げます。

講義で得た知識を踏まえて、グループワークでは「『勤労者のこころの健康』に役立つ研修」をディスカッションしました。タテ社会になりがちな職場において、「ヨコの関係」で支援することの重要性と難しさについて、語り合いました。

本講座は、次回の第4講がいよいよ最終回となります。これまでの学びの総括として、コミュニティ心理学が目指す「個人」と「社会」への支援方法について理解を深めていきたいです。次回は、対面形式で行います。箕口先生や受講者の皆さんと、近い距離で対話ができることもとても楽しみです。

16期  齋藤 隆行