「日本個人心理学会第2回学術大会」に参加して

中尾 正雄

 日本個人心理学会第2回学術大会が2022年3月5日(土)、3月6日(日)の2日間行われました。大会のテーマは「コミュニティの支援力を育てる~アドラー心理学の貢献」で、大会長は箕口先生でした。今回はオンラインでの開催でした。あどカフェからも5名の方が参加しました。

 初日の3月5日はワークショップ(4時間)で、3つのルームに分かれました。私は「アドラー心理学入門」のルームに入りました。このルームには、30名弱の方が参加し、座学だけではなく、ブレイクアウトルームに分かれ、それぞれの参加者が意見を出し合う参加型の講座でした。具体的な事案を通してアドラー心理学を学ぶため、「勇気づけ会議」が行なわれました。参加者はその事案の課題・問題点を共有し、ゴール(着地点)に向かってそれぞれ対処案、解決案を提案するものです。様々な考え方、対応方法が示され、たいへん興味深く思いました。

 翌6日は大会で、午前の部は大会長講演と先生方による研究発表がありました。

 初めに大会長の箕口先生による基調講演がありました。講演の内容は、アドラー心理学の中心的な実践思想である「共同体感覚の育成」についてその意義と課題を明らかにし、コミュニティが持つ支援力を育て、現代社会の多様なニーズに応えていくことが大切であるとのお話でした。

 続いて3つのルームに分かれ、それぞれ研究発表が行われました。私は箕口先生、浅井先生が座長を務めるルームに入りました。まず浅井先生から「人はどう勇気づけられるのか~勇気づけメカニズムの図式化~」について研究発表があり、続いて2人の先生から研究発表がありました。

 午後の部に入り、招待講演とシンポジウムが行われました。

 招待講演は、黒澤誠先生(川口市立新郷南小学校校長)による講演で、「100点を目指すのではなく、自分を信じて100%努力する学校~アドラー心理学を用いた新たな学校経営と教育実践の提案」という演題でお話がありました。学校現場で先生方がスムーズに意思決定ができるよう、その仕組みを変えるなど、学校現場にアドラー心理学を取り入れた実践報告で、とても興味深いものでした。

 続いてシンポジウムがあり、「アドラー心理学を活用したコミュニティの支援力を育てる実践」をテーマに、3人のシンポジストによる報告発表がありました。

 私は、今回初めて日本個人心理学会学術大会参加させていただきました。アドラー心理学を専門的に勉強したわけではないのですが、参加型のワークショップやいろいろな実践事例を聞かせていただき、とても参考になりました。アドラー心理学の共同体感覚とコミュニティが持つ支援力が結びついて、多くの分野で人々のニーズに応え、役立っていることがわかりました。私にとってアドラー心理学は、定年退職後の生き方にヒントを与えてくれるものと考えています。