前回の投稿者は分身ロボットカフェをテーマにされていたが、そのことに私も触れてみたい。
その投稿は、コーヒーを淹れるロボットを遠隔操作するオリヒメと呼ばれる分身ロボット=実際は遠隔地でパソコンを駆使しロボットを操作している=が紹介されていた。まるでロボットがロボットを操作している錯覚に陥りそう。もちろん人間が操作しているわけだが。
このカフェでは、そのほかのロボットも働いている。身長1mくらいのロボットがお客の前に来て注文を取り、また、食事を運んでくるといった一連の作業をする。これも、単に無人のロボットがマニュアル通り動いているのではなく、冒頭のように遠隔地で人間がそのロボットを操作しているわけで、実際に客と会話もするし、一連の作業もする。つまり接客=メニューを説明し、オーダーを受け、キッチンに伝え、出来上がったら客の席まで運んでくる。あたかもロボットの中に人間入っているかのよう。もちろん、健常者を含む現場のスタッフの存在は不可欠ではあるが。
これらのロボットたちを操作しているのは、何らかの事情でその現場にいない人たちだ。障害などがあり現場に行くこと・居ることが出来ない人、他人と対面しづらい人、また身体を動かすことが出来ない人など事情はさまざまだ。だから自室から出ることが出来ないALS患者などにも開かれる。これはロボットの社会ではなくロボットを介在した障害者、外出困難者の新しい働き方だ。このカフェはまだ実験段階ではあるが、将来採算ベースにものり、普通にあるお店になって行くことを期待したい。
この「オリヒメ」というロボットたちを開発研究している、オリィ研究所所長の吉藤氏は「オリヒメは着ぐるみの様なもの、だから、パイロット(オリヒメを捜査する人)はコミュニケーションに前向きになれるのです」「オリヒメはコミュニケーションを補助し、人と繋がり孤独を解消するためのロボットです。だからオリヒメの中身は人間でなければいけないのです。」と言っている。
この分身ロボットのメリットをまとめると、①行動の一部を代わってもらえる、②感情表現が可能、③身体の不自由な人も遠隔操作できる、④孤独の解消などが挙げられている。
もちろんデメリットも容易に想像できる。対面業務の難しさ、ロボットであるが故の作業の質と量、また、不正アクセスや故障などのアクシデントも充分あり得る。まだまだ難しい問題たくさんあると思われるが、一つ一つ解決されていくことだろう。
今後、「オリヒメ」達が目指すものはなんだろうか。
- 本人の代わりに世界中どこにでも行って、見て、聞いて、話すことが出来る。
- 今回紹介したカフェを始め、ショップや公的機関など接客・会議などコミュニケーション業務の発展・充実に貢献できる。
- 医療分野としては、現場で働く人や患者の負担軽減、また感染予防の点からのメリットなど様々な効果を生む。
また教育の現場でも、不登校児童・生徒の代わりに授業に参加できないかなど「出来ない」ではなく、『「出来る」を増やすことによって人間はポジティブになれる。』ということを、「オリヒメ」達はスローガンにしている。
此度このカフェを訪れて、あらためて「可能性」について考えさせられた。最後に、傷害者スポーツの先駆者ルードウィッヒ・グッドマン博士の言葉を引用してみたい。
「失われたものを数えるな、残されたものを最大限に生かせ」
(7期生 佐野)
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