RSSC生の皆さんへ

2021年度本科ゼミナール担当佐々木一也

 RSSC生及び修了生の皆さん。私は佐々木一也と申します。2020年3月まで立教大学文学部に勤務していました。私が1989年に着任したのは一般教育部という現在の全学共通科目に相当する科目群を担当する部局でした。私の専門は西洋哲学、特にドイツの実存系哲学(ハイデガーおよび解釈学)で、「哲学」科目を担当していました。その後、組織変更で文学部に移籍しましたが、哲学は学問一般を視野に入れて学知の根拠を問うものですから、私はリベラル・アーツ教育に強い関心を持ち続けています。多様な知識を得て自律的に考える力を養うひとは、自ら独立して判断し、自分の行く道を選択したり開拓したりすることができます。本当の意味で自由になれるのです。
 若い学生達と違い、半世紀以上の具体的な人生経験を持つRSSC生の皆さんは、自由を単なる抽象的観念ではなく現実の多様な姿でご存じです。ですから、大学でもご自分の人生経路に照らし合わせて科目分野を選び、それらをご自分の人生という軸に編み込み、それがさらに次の知的関心を生んでどんどん豊かにしてゆくことができます。自由をより深く自覚し、その実現に向けて進むことができます。RSSCでの学びはその一歩を確実に踏み出すことを意味します。私の担当する今年度の本科ゼミナール受講生は、皆さん真摯に、授業時間外にも自主ゼミを行ったりして、活発に前向きに意見を出し合い、自由な知的営みに邁進しておられます。この姿勢は修了後も終生持ち続けていただきたいと思います。そしてRSSC修了生の皆さんが、自由と自律性が十分でない日本社会を変える力となってくださることを心から期待しております。

この記事の投稿者

編集チーム 十二期生