繰り返しもまたよし、の近況報告

栗田 和明
RSSCゼミ担当教員

 RSSCで合計5年ほど授業をしている。最初の担当から時間が経っているので、近況報告をしたい。修了した皆さまの様子も、ときどき耳にするが、これもまた嬉しく感じる。
 2020・2021年とコロナのために国外出張を断念し、夏もずっと日本にいた。2020年は庭から2階の屋根までネットを張って、アサガオのグリーンカーテンを作った。たまたま2020年は私の居住地で40.2度の最高気温が出て、遮熱の効果がすこしあった。しかし、この効果以前に、私としてはアサガオの開花を毎朝数えるのが楽しみであった。花の数を知っても何の功徳もないが、毎朝の決まりとして数えていた。最盛期には一日に800輪以上が咲き、カウントするのに小一時間かかった。いかにも無駄な時間のようであるが、これが意外と楽しいことに気づいた。
 2021年は、ずいぶん規模を縮小して、ササゲ、ゴーヤ、こぼれ種によるアサガオでグリーンカーテンを作成した。2021年は花のカウントにかわってカメムシとカナブンの発生がないか、植物のつるをたどって毎朝点検していた。これも時間がかかるルーティンであるが、楽しみでもあった。ちなみに、グリーンカーテンとは別に庭で栽培したキュウリには目が行き届かず収穫時期を逃して、写真のようなお化けキュウリになってしまった。これは家人が細断して煮て食べた。
 公園や寺社で落ち葉をはいている人を見かける。秋の落ち葉はきりがなく、掃除は徒労のようにみえる。そういえば、『モモ』に登場する道路掃除夫のベッポも道路をあきずに掃除して時間浪費の典型のように見えるかもしれない。しかし、植物と接してみて、ふんだんに時間をかけて同じ事を繰り返すこともじつは楽しい、と感じている。新奇の知見やあらたな創造だけでなく、繰り返しの中にも充実や楽しみは探すことが出来るのである。

 

 

 

 

大きくなりすぎた我が家の野菜。
キュウリ: 長さ40センチ 重さ773グラム
ササゲ: 長さ70センチ強 (床のタイルは10センチ角)