「修了論文発表会」の誕生

 今年も3月の7日、8日の二日間をかけて修了論文発表会が開かれました。今年で第3回目でしたが、教室がいっぱいになるほど多くの受講生や関係者が集まり、出席者からは「RSSCの発足当初からやられていたように感じる」という言葉が聞かれるほど、恒例行事化した感があります。この修了論文発表会に最初から関係した教員として、この場を借りて、少しご報告したいと思います。
 修了論文発表会がスタートしたのは2017年3月、つまり2016年度末のことでした。といっても、この時は「専攻科共同研究発表会」として、専攻科のしかも共同研究の修了論文に限っての発表会でした。発表は坪野谷ゼミと上田ゼミからの4名のグループによる共同研究Aと、成田ゼミからの5名ずつ2つのグループによる共同研究Bでした。発表を共同研究に絞ったので、この3グループ、合計14名による1日だけの発表になったわけです。共同研究というものの意義を訴えるという意味もあって、本科生にも参加を呼びかけました。
 しかし、実際に発表会を開いてみると、会場には多くの受講生が詰めかけて、予想以上の熱気となり、また、会場からは「個人研究にも、発表の機会がほしかった」との声が聞かれたのです。本科、専攻科には合わせて150名近い受講生がおり、修了論文を発表するといっても、どうやって発表者を選び、どのくらいの時間をかければよいのか見当もつかない状態で、教員としては、実施は不可能であろうと勝手に決め込んでいたところがあります。その扉が開いた瞬間でした。
 2017年度には教務委員会が中心となって、個人研究も含めた本格的な「修了論文発表会」の実施に取り組みました。ハードルは沢山ありました。最も難しいかった課題はこれだけの人数の修了生の中から、どうやって、何人くらいの発表者を選ぶのかという問題でした。当然できるだけ多くの方に発表してもらいたいわけですが、開催できる時間には限りがあります。
 結局2日間で、28人の個人研究の発表と1件の共同研究の発表となりました。発表者は各ゼミから2名を規準に選出を依頼し、別に「個人応募枠」も設けました。来場者のアンケートでは、この発表会について「非常に意義があった」と「意義が感じられた」という肯定的回答の結果を合わせると、何と84.8%にものぼったのです。
 2018年度の修了論文発表会では、課題であった1人あたりの発表持ち時間を20分に拡大し、24人の個人研究と、1件の共同研究の発表となりました。特筆すべきは、アンケートでの「非常に意義があった」と「意義があった」という肯定的評価がさらに伸びて、96.3%となったことです。
 修了論文は、皆さんご承知のように、ひとり一人がこれまでの人生経験の中で抱いてきた、興味、問題意識、こだわり、さらには今後への抱負などを主題として書く、きわめて多様性のある研究です。私も2日間、全ての発表を聞かせて頂き、この修了論文を書くという過程が本当に素晴らしいものであることを、改めて実感しました。発表はどれもレベルが高く、生き生きとしていましたし、何より清々しい達成感に満ちていました。
 今年度からは、「修了論文発表会委員会」という受講生委員会が主体となって、この発表会は継続していきます。この意義深い発表会が続いて行くことを願っています。

成田康昭

この記事の投稿者

十期生・ 編集チーム