1.活動日 2017.12.8(金)10:15~12:05(映画鑑賞)12:30~14:30(忘年会ランチ)

2.場所  渋谷シネパレス(映画鑑賞)   Bunkamuraドゥマゴパリ(忘年会ランチ)

3.出席者 映画鑑賞(5名)  忘年会ランチ(7名)

 

9月の研究会では明治初期に日本の近代化を進める為に官営の製糸工場が富岡に建設されて工女として入場した和田英の回想録「富岡日記」を読み読後感を話し合った。更に10月には実際に富岡製糸場及び群馬県立日本絹の里を訪問・見学したが、この度漸く、「富岡日記」をもとに製糸場での和田英ら女工たちの体験やフランス人指導者の姿を描いた映画「紅い襷」が一般公開されたので研究会として鑑賞会を開催した。

富岡製糸場に入場した工女たちは全国から選ばれて来た士族の娘たちで、この近代工場で製糸技術を習得したのちには故郷に帰り、村人の技術指導に当たることが期待されていた。一日も早く1等工女の証である「紅い襷」を手にして国にへ帰るのだという目標と誇りと責任を持って新しい日本の為に糸を引き続けた工女たちの働く姿。自らの国から遠く離れ、日本の近代化のために尽力したフランス人指導者ポール・ブリュナや妻エミリを始めとするフランス人女性指導者たちの望郷の思いが不安や葛藤と綯い交ぜになった複雑な感情を持ちつつ、女工たちと共に時代を切り拓いていった様子がよく分かった。事前に絹の里で養蚕や製糸について学習し、「富岡日記」を読んで製糸場での労働や暮らしについて知った上で製糸場を見学していたので、映画によって一層理解が深まったと感じる。繭を煮る悪臭と釜から立ち昇る湯気による湿気と高温など厳しい労働環境ではあったが、1日の労働時間7時間半、盆暮れの休暇や遠足、芝居見物、寄宿舎での買い物等、この時期に既に余裕のある西洋の労働環境が取り入れられていたことは驚くほど。だが、その後日本の近代産業が発展するにつれて利益優先・効率第一に転じて行ったことは残念でならない。それにしても希望や目標をもっている若き女性たちの何と生き生きと輝いている事だろう。この時代に若き女性たちが自らの意見を堂々と述べ、上司や監督者を説得し、事態を改善していく姿に胸がすく思いだった。

 

【来年度の企画話し合い】

*29年度は、「100年前の英国で参政権を求め戦った女性達」、「ベルリンの壁を巡って」「物理学者 米沢富美子の哲学」「外国語としての日本語」「現代のお墓事情」「富岡日記を読みとく」「道なき道を拓いた日本の女性科学者100年のあゆみ」など広範なテーマの研究会活動が出来た。

*30年度1月は休みとし、平成30年の第1回定例研究会は2月2日(金)13時半から開催予定 詳細は後日