日本在住のウクライナ歌手カテリーナさんとキエフから避難していらしたお母さまを招いて、お話と音楽の会を開いた。

1.日時:   2022年10月19日(水)14:00~15:45

2.場所:   東京芸術劇場 シンフォニースペース

3.タイトル: 「ウクライナの人々と文化」

4.参加者:  71名

5.後援:   ドイツ愛好会 

今年の2月24日、ウクライナに対しロシアの一方的な軍事侵攻が始まり、日本でも連日被害の様子や近隣諸国に避難する人々のニュースが報じられた。一夜にして平穏な生活を奪われ、家族と離れ離れにならなければならなくなったウクライナの人々のことを知り、日本人の誰もが自分にもなにかできないだろうかを考えたことと思う。

ウィメンズのメンバーの中にウクライナの歌手であり民族楽器のバンドゥーラ奏者であるカテリーナさんを知る者がいたため、カテリーナさんを招いて支援のコンサートを開こうということになった。

カテリーナさんは17年前に来日して日本で演奏活動を行っていたが、ロシアの軍事侵攻を受け、ウクライナの平和を訴えるための音楽活動を全国各地で行っていた。多忙な中ではあったが、ウィメンズからの依頼を快く引き受けてくださった。

カテリーナさんはウクライナのプリピチャ(チョルノービリ原子力発電所から2.5キロ離れた町)に生まれた。生後30日の時にチョルノービリ原発事故で被災し、一家は町から強制退去させられている。6歳の時にチョルノービリ原発事故で被災した子供たちで構成された音楽団「チェルボナカリーナ」に入団後、海外公演に多数参加。日本のコンサートにも何度も招聘された。日本のすばらしさに感動し、19歳の時に音楽活動の拠点を東京に移す。現在日本に2人しかいないバンドゥーラ奏者の1人として、国内外のコンサート活動を展開している。そして現在は、今年3月キエフから避難してきた母親(マリアさん)が合流され、音楽を通してウクライナの現状と平和を訴える活動を行っている。                          

今回のウィメンズの会は「ウクライナの人々と文化」講座と題し、音楽だけではなくウクライナに関するお話とお二人の体験を聞くことも目的とした。

講座の前半はカテリーナさんの歌とバンドゥーラの演奏があり、その合間にウクライナの歴史や自然、ご自身の原発事故被災体験やバンドゥーラの楽器の解説などをしていただいた。後半はマリアさんの力強い歌で始まり、ご自身の今までの体験、ウクライナの現状に対する切実な思いを私たちに伝えてくださった。またチョルノービリでの体験から福島原発の事故、そして被災された日本の人々にも深い関心を持っていらっしゃるのがわかった。

最後は東日本大震災をテーマとした「花は咲く」、そして「翼をください」の日本語の歌2曲。お二人のメッセージと思いが込められた選曲であった。

当初の予定では、このあと会場から質問を受ける時間を設け、わずかでもお二人と交流できるようにと考えていたのだが、カテリーナさんの次の予定時間が迫っていたため、残念ながらここでお開きとなった。

今回はコロナ禍であったことから、参加者はウィメンズメンバーの知人に限定し、万が一の場合、すべての人に連絡が取れる態勢で行った。また参加人数を定員の70%に限定し、途中で換気のための休憩を入れるなど細心の注意を払った。

来場者の方々はウクライナ語の「こんにちは(ドーブルィ・デーニ)」でお二人を迎えてくださり、最後もウクライナ語の「ありがとう(ジャークユ)」を唱和してくださった。みなさん熱心にお話を聞き、歌や演奏を楽しみ、終始とても温かい雰囲気であった。

マリアさんの日本での生活が心穏やかなものであるよう、そしてウクライナに平和が訪れ、一日も早く祖国に帰れる日が来ることを心から願わずにいられない。

最後に、講座実施にあたって会場設営や機材手配などでドイツ愛好会に大変お世話になった。この場を借りて御礼申し上げます。また、当日受付でご寄付をしてくださった方々にも心から御礼申し上げます。講座終了後、カテリーナさんにお渡しいたしました。    (記:石橋)