日時:2017年6月2日 13時30分~15時30分
場所:MFビル13階集会室    参加者:7名
テーマ:「外国語としての日本語」 話題提供者:内田安伊子さん

私たちにとって日本語は,生まれた時から意識することなく覚え,いつの間にか不自由なく使えるようになっている言葉である。
今回の研究会では,その日本語を一つの言語としていくつかの角度から眺め、更に外国人が日本語を学習する場合、どのようにして日本語を学ぶのか、またどんな苦労があるのか等話し合った。

◇学ぶ順番
代表的なテキスト『みんなの日本語 初級』を参考にステップアップの概要をみた。 最初に学ぶのは「私は~です」「ミラーさんは学生じゃありません」等の表現で、自分を含めて人物の名前や職業を伝えること,そして,話し言葉の表現(「~ではありません」→「~じゃありません」)を使うこと,この2点に留意した内容からスタートする。その後,「先週,北海道に行きました」「北海道は九州より大きいです」など一方的に何かを伝える表現,「ちょっと待ってください」「荷物を持ちましょうか」など相手に反応を求める表現,それぞれを長く複雑にした表現,という順序で学んでいく。日常の基本的なやり取りができると見做される所まで進むと、初級の最後の段階となり、さまざまな敬語を使った会話を練習する。

 

◇日本語の検定試験

独立行政法人国際交流基金と公益財団法人日本国際教育支援協会が年に2回「日本語能力試験」を実施している。これは,日本語を母語としない人の日本語能力を測定し認定する試験として世界最大規模の試験で,一度の試験を60数か国で30万人以上が受験している。レベルは,低い方からN5~N1の5段階とされている。

今回の研究会では、N1の試験問題を参加者みんなで解いてみた。クリアすれば日本語の最上級レベルを認定される問題とあって、皆、興味津々かつ真剣に?問題に取り組んだ。10個ほどの単語のアクセントを確認し合ったが、参加者も自信が無い部分があったり、出身地による音声感覚のズレがあったりした。

 

◇外国人が印象に残る日本語の特徴
・日本語の単語のアクセントは高低アクセントである。
・日本語の語彙は,何と言っても,純粋な和語に加えて漢語と外来語を多く含むことが特徴であ    る。また語彙も多い。また和製英語と言われるカタカナ言葉も存在し,意味の取りにくい語彙も数多い。どんどん、ぐんぐん、しとしと等のオノマトペも多用される。
・日本語の文章は,肯定か否定か,話し手はどう考えているか,相手にどうしてほしいのか,などが英語と違って文の後半で表現される構造になっている。
・日本語の文では主語がしばしば省略される。「象は鼻が長い」という文の主語は何か?

◆母語話者である私たちが日頃意識することなく使っている日本語だが、改めて気づかされた事も多くあった。
◆会員の中に、日本に住む外国人のために日本語を教えるボランティア活動をされている人がいて、その経験や他国の人への思い、また海外に居住した経験のある会員からは現地での言葉 の苦労話や親切にしていただいた経験など聞く機会にもなり、言語を通して視野の広がった定例会であった。                                   (内田記)