人生もそろそろ終盤を迎え、身辺整理や断捨離という意識が高まってきた昨今、巷では金の高値、予想外の円安、世界政情不安などが重なって、中古品の価格が大変高騰してきています。テレビをつければ、「ブランド品高価買取」「中古品でも痛んでいても大丈夫」「買取価格満足度№1」というわけで、私もあちこちに埋もれていた貴金属やブランドバックをもって、意気揚々と出かけてまいりました。おみくじを引いた時一番出てほしいランクの名前のショップへ。
皆さんも経験あると思いますが、こういった類のお店に入るのはちょっと勇気が要ります。昔で言う「質屋」の感覚ですね。そもそも質屋に出入りするのはお金に困った時くらいでしたから。ところが今ではお客様は神様です!扱いで、応対に出てきた男性は白い手袋をして、さも大切そうにビロード張りのトレーに私の差し出した貴金属の類を広げ、「しっかり査定させていただきます」なんて言って、裏方に消えていきました。もちろん貴金属のほかにも、私としては思い切って買った記憶のあるブランドバックも3点ほども。大切にしていたので何回かしか使用していなかったのですが、皮が本格すぎて、今となっては重くて持つのが苦痛となってしまった代物です。
それぞれの品物にはそれなりに思い出もあります。亡くなった母が残したサンゴやべっ甲と言った古めかしい物、父がつけていたカフスボタンから、海外で買った怪しげなネックレスや指輪、人から頂いたスワロフスキーのブレスレットやなんやかんや・・・・。いざとなると、そういった思い出のシーンが蘇ってきて、なかなか手放せないまま、何年も何十年もただ箱の中で眠っていたのですが、こんな何世代も前の思いを子供たちに残してもかえって迷惑だと思い、一念発起した次第です。
おそらくは、そんなに期待できるはずがない、せいぜいこの位・・という思いを抱きながら、それでもわずかな期待をもって結果を待っていましたが、皆さんが予想された通り、結果は散々なものでした。
この経験で学習したこと①、巷の宣伝文句はほとんど嘘だ!ちょっと名の知れたブランド品なんか、二束三文。価値があるのは一握りのハイブランドの限られたモデルだけ。例えばエルメスのバーキン、シャネルのチェーンショルダーとかヴィトンのなんちゃら・・。
学習したこと②、私自身の今までの生活は、こうしたトップブランドに囲まれるような、ラグジュアリーな暮らしではなかった!という事。又は私がそうした高価なものに興味を持ってこなかったという事。おのずと自分の周りにあるお気に入りは、普通のブランド品ばかりで、それは私の暮らしそのものが普通だった!という事に今さらながら気が付きました。長い目で見て価値のあるものを見極める目が無かったのでしょう。高価買取品なんて分不相応。
あれこれ雑魚の貴金属はひとまとめでいくら!って感じで、バナナのたたき売りじゃあるまいし!と、とても悲しい思いでしたが、かといって持って帰ってもまた箱の中で眠るだけ。泣く泣く手放すこととなってしまいました。雑魚の中にもわずかな金やプラチナなどはあるはずですが、私の持って行った中には当たりはなかった⁈という事です。高いランチを一回楽しめる程度でした。
さてブランドバック3点ですが、こちらもまとめてなんと500円と言われ、あまりにバック達がかわいそうと思い、バックだけは重い思いをしてでも持ち帰ると決心し、今、我が家のウォークインクロゼットの元あった場所に、ちょっと申し訳なさそうに寂し気に鎮座しています。バック達は私に語りかけてきます。「もっと自分を知り、謙虚に生きて行きましょう」って。(7期生 梅原)
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