1.会の趣旨・目的

没イチとは配偶者が没し、一人になったことを指します。「ボツイチの会」はその没イチの人が会員となり、「先だった配偶者の分も、2倍人生を楽しむ使命を帯びた人の会」というテーマを掲げ小谷みどり先生を中心に定期的に集まり、お酒や食事を共にして自由に話をする会です。

悲しみを分かち合う会ではなく、先生から授業外でのユニークなお話を聞いたり、会員が前向きに生きるために刺激しあったり、直面する課題や問題を共有するために情報交換したりしています。

2.活動状況

2015年(平成27年)5月に発足し、ほぼ3ヶ月毎に集まり、コロナ禍ではZoomを利用して、オンライン懇親会を開催しています。

3.参加条件・方法

会員条件はRSSCに在籍したことがある、没イチの方です。参加費や年会費はありませんが、飲食代は自己負担です。RSSCの在籍者、又は在籍経験のある方に限定するのは、同じ学び舎で学んだ仲間としての連帯感を大切にするからです。

入会ご希望の方、会にご興味がある方は下記までご連絡ください。
【必要事項:*お名前 *何期生 *メールアドレス】

・池内 章(8期生) a.ikeuchi@bd6.so-net.ne.jp

・古賀節彦(12期-現専攻科) 19fg025e@rikkyo.ac.jp    tokikoga@softbank.ne.jp

4.小谷みどり先生執筆の新聞記事紹介

  朝日新聞デジタル版 2021年7月24日掲載より

 私が関わったホスピス財団の2018年の調査で、夫婦のどちらが先に逝きたいかをたずねたところ、男性は全世代で「妻より先に」と答える人がほとんどでした。一方、女性は60代以上は「夫が先に」、50代以下では「夫より先に」と考える人が主流です。

 「老後は夫婦2人」が当たり前となり、配偶者との死別を機にひとり暮らしになる人が増えています。男性の多くは自分は妻より先に死ぬと信じて疑いませんが、寿命が延び、高齢になって妻に先立たれるケースも増加しています。また女性も、夫との死別年齢があがっています。男女ともに高齢になってからひとり暮らしとなり、そこから新しい環境に順応するのは大変だと思います。

 私は10年前、突然死で夫を亡くしました。その時、いろんな人が「かわいそうに」と言葉をかけてくれ、「しばらくは人前で楽しい顔をしない方がいい」と助言する人もいました。私のために良かれと思っての言葉でしょうが、私は違和感を覚えました。なぜなら、夫に死なれた私がかわいそうなのではなく、私にとっては、これからやりたいことがたくさんあったのに突然心臓が停止した夫がかわいそうだったからです。

 調査では、定年退職後に妻と死別した男性は、話し相手や相談相手になる友人が少なく、引きこもりがちになり、社会から孤立する傾向があります。妻と老後を楽しむ友人の話を聞くのがつらいという人もいます。一方で飲みに行ったり頻繁に外出したりすると、「死別して間もないのに」と、近所の人たちから後ろ指をさされたという体験談もたくさん耳にしました。離婚と死別はまったく違うのに「離死別」と一くくりにされるのも、自分が当事者になってとても気になりました。死別しても、結婚指輪をつけたままの人は多いのです。

 そんなことから死別者が気兼ねなく情報交換できる場が必要だと感じ、私が講師を務める立教セカンドステージ大学の学生たちと「没イチ会」を結成しました。私は自分を「未亡人」や「やもめ」ではなく、バツイチをもじって「没イチ」と称しています。没イチ会では「いつ遺品を整理した?」「配偶者は夢に出てくる?」「コロナ禍で法事はどうした?」といった話題のほか、再婚についても語り合います。実際、メンバーの中には恋人と同居をはじめた男性や、結婚相談所に登録して婚活にいそしむ女性もいます。

 没イチ会のテーマは「死んだ配偶者の分も人生を楽しもう」。80代の男性はネットを使いこなし、コロナ禍でも合唱グループの練習にオンラインで参加しています。亡き妻がやりたかったアジアの支援を自分が代わりにやろうと大学でカンボジア語を学びはじめた人、妻の死をきっかけに自宅の畑を花が咲き乱れる庭に改造しようと全国の西洋庭園を見て歩き、ガーデニングにいそしむ男性もいます。美術館のボランティアやNPO活動をはじめた人もいます。

 3年前には、没イチ男性のファッションショーを開催しました。「背中が曲がっている!」「下を向かない!」「右手と右足を一緒に出さない!」などと、プロのモデルから厳しく注意されてもへこたれず、何度も歩き方のレッスンを受けました。当日は本人たちが選曲した妻との思い出の曲をバックに、プロが選んだ服を着こなしてランウェーを歩く姿に、友人や子どもたちが拍手やエールを送りました。

 結婚すれば離婚しない限り、先に死ぬか、残されるかのどちらかです。死別後の人生をどう生きるのか。自分のことは自分でするという姿勢や、相談できる友人や仲間の存在が重要な鍵となりそうです。

小谷みどり