平均年齢60歳の受講生と共に歩んだ10年

 立教大学が高齢化社会の到来に際して、大学の社会的責任として設立した50歳以上の生涯学習の場であるユニークな「立教セカンドステージ大学」(RSSC)は、平成30年4月で創立十周年を迎えました。創立以来、平均年齢60歳の男女が毎年約100名入学し、1年乃至2年間の学び直しを経て、第二の人生に歩み出た修了生は早いもので実に千名に達します。

 真摯に学び楽しく有意義に過ごすキャンパスライフは、いわば人生の一時のオアシス、そして若い学生と一緒に過ごす刺激的な時間でもあります。またサポートセンター登録の社会貢献活動研究会は現在14、修了生を合わせて約400名が参加し、生きがいと喜びを実感しており、私にとってもそれを見るのはこの上ない喜びです。一方では、同窓会も15の文化・芸術・趣味の同好会があり、四季折々に触れて仲良く人生を謳歌しています。

 私はこのいわば総合的なシニア大学の設立準備に関わり、現在も授業とゼミナール、大学の運営、社会貢献活動に携わっています。これは私自身の生涯学習の実践であり、21世紀のシニアの生き方の先駆的な大いなる実験でもあると、日々思いを新たに励んでいます。こうして10年間に亘り千名と共に歩みながら、シニアの多様な生き方やまちづくり等の研究に興味を持った多くの自治体や団体から講演会にも招請されており、各方面からの関心の高さが窺えます。多忙ではありますが、奉仕・報恩・感謝の気持ちを胸に飛びまわっています。

 平成29年11月には、21世紀アクティブシニア社会共生研究会の9期専攻科生・10期本科生のメンバー16名による、『RSSCの社会貢献活動の軌跡~勇気ある一歩』(坪野谷監修)の小冊子、A4判83ページが編纂されました。これはRSSCの歴史の一面である社会貢献活動サポートセンターの14研究会と個人・グループの生き生きとした活動の実録であります。更には、平成30年2月には、木下康仁教授が『シニア学びの群像~定年後ライフスタイルの創出』(弘文堂)を著され、RSSCとサポートセンターについても理論的・体系的な調査分析結果を記述されましたので、一層意を強くしております。

 皆さんと共に歩んだひたむきで地道な学びと社会貢献活動が、他者から社会から承認され期待されることはやりがいや生きがいの源となり、人生の喜びと幸せに繋がると考えます。これこそ立教の創始者であるウイリアム主教の教えである”道を伝えて己を伝えず” の小さな倣いともいえるのではないでしょうか。

立教セカンドステージ大学教員
坪野谷雅之