今年(2025年)は5年に一度、国勢調査が行われる年。全国60万人の調査員がその業務にあたる大規模な国家事業だ。主催元は総務省。この調査結果が国や自治体の基礎になる。多くの人は5年に一度調査票を記入し提出しているはずだが、たいていの人はそんなのがあったなと思う程度だろう。私もそんな一人であったが、この度その「調査員」をすることになった。調査員の多くは高齢者で、経験されている方も多いのでは。

これは国の事業であるが、実際に行うのは自治体。多くの自治体は町会などの組織に依頼して調査員を集める。町会や自治会等が希薄なところは、ボランティアを募集したりして調査員を賄う。昨今なかなか調査員が集まらず苦労している様子。町会活動が盛んなところは毎回依頼される。私もそのケース。さて実際の仕事だが、「お役所仕事」というべきか、自分が想像していたよりかなり大変で、言い換えれば「きちんと」している。

まず、身分は総務大臣の任命による2ヶ月間期間限定の『非常勤国家公務員』。巡回中は指定のバッグを持ち、自治体の腕章と写真付き身分証明書を携行する。と、ものものしい。担当区域が決められており、一人数十軒から多い場合は数百軒受け持つようだ。その区域を最低でも4回廻ることになる。

=実際の作業=

  1. 9月上旬から約2週間;まず説明会に参加して要領のレクチャーを受ける。それに基づき作業を始める。担当区域の地図に一軒一軒その家の名前を書き込んで、それぞれ番号を振る。共同住宅は○○マンションなどと書き、別枠に部屋番号表を作り名前を振る。そのすべてを一覧表にまとめる。
  2. 調査票の配布、約10日間;一軒一軒インターホンを押し訪問の意図を告げ、調査票を手渡しするか、又はポスト投函。集合住宅も同様。これが大変。小さなアパートなら戸数は少ないが、大きなマンションだと一軒一軒、入口インターホンで確認→入館→各戸インターホン→手渡し。この繰り返し。留守の場合は3~4回再訪問するよう指導されている。
  3. その後1週間で調査票の回収;(これは回収を希望した人のみで、多くの人は郵送またはWeb回答する)。全戸に「回答お済ですか」チラシを配布する。
  4. さらに1週間くらい;未提出世帯からの回収と、全戸に最終の「調査票提出のお願い」チラシ配布する。
  5. 最初に作った配布世帯一覧表と担当区域地図の清書。
  6. 指定場所に書類の提出と諸支給物の返却。 =概ね2か月で業務終了=

以上がおおよその流れである。報酬はでるとは言え、なかなかの労働で同時に気骨の折れる仕事だった。冒頭述べたが、「お役所仕事」とはかくもきちんとしていることに敬意と、ちょっと半畳を入れたくなる。この調査は『統計法』という法律に拠っており、回答しないと50万円以下の罰金が課せられる。(実際に課せられた人はほぼいないようだが。)

回収率は前回2020年実績80%以上だったようで、私としては案外多くの人が回答しているのだなあと思った。これらのデータは、●地方交付税の算定、●小選挙区の区割り、●災害時避難場所の設置、●保育園や病院の建設計画、等の資料に活用されているとのこと。

このための費用は、前回でもなんと900億円以上かかったそうだ。当然種々データの収集、現状把握は必要だろうが、調査員のなり手が毎回減少傾向とのことと合わせて、調査項目の内容検討、費用対効果、信憑性、継続実施の可否など、今後の検討課題は多いだろう。わずか2ヶ月間とは言え、国家公務員の端くれになった貴重な体験だった。(7期生 佐野英二)

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