地域創生フィールドスタディの魅力

上田 信 (RSSC専攻科ゼミ担当教授)

 昨年11月、瀬戸内海に浮かぶ小豆島で三日間にわたり行ったプレ-フィールドスタディでは、地域に根ざす人々の営みと、その中に芽吹く新たな挑戦に触れる貴重な機会となった。地域おこし協力隊の若い世代は、歴史や文化を背景に地元の人と大学や企業をつなぎ、持続可能な仕組みづくりに取り組んでいる。例えば「短時間雇用制度」を導入して多様な人材が働き続けられるよう工夫し、あるいは空き家を資源として活用する取り組みが進められていた。現場で直接語られる言葉からは、行政資料では読み取れない生きた息遣いが感じられた。

 また、地元の醤油蔵やオリーヴ事業を支える企業を訪ねると、伝統と革新が交錯する姿が見えてきた。木桶醤油の国際的な発信、オリーヴをめぐる循環型の建築と商品開発。こうした事例を通して、地域が抱える課題が、創造力によって可能性へと転じていく過程を学ぶことができた。雨に阻まれた計画変更も、逆に参加者同士が議論を深める時間となり、思索を共有する「学びの共同体」としてのフィールドスタディの醍醐味を実感した。

写真:小豆島エンジェルロードをたどる

 今年度から、いよいよ正規の授業「地域創生フィールドスタディ」が始まる。このような現場での学びを今後も継続するためには、RSSC独自の資金が不可欠である。下見に必要な交通費や資料作成などは往々にして自己負担となる。もし本稿に共感いただけるなら、ぜひRSSCに対する指定寄付という形でご支援をお願いしたい。立教学院へのご寄付は税制上の控除対象となり、皆さまのお力が次のフィールドスタディを支える確かな基盤となる。現地で出会った人びとの思いを次世代へつなげるために、どうかご協力を賜りたい。

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編集チーム 十七期生