記録的な猛暑日が、ようやく収まりかけた9月30日(土)に、第16回「あどらーカフェ」勉強会(15時~17時)が、開催されました。
今回のテーマは「自分を勇気づける」です。勉強会では、顧問の箕口先生のレクチャーにつづき、19名の参加者で、「事例ワーク」と「コンセンサス・ワーク」の二つのグループワークを実施しました。ワークでは、個々の勇気づけられたエピソードを交えて聞き合い、話し合い、「自分を勇気づける」とはどのようなことなのか、を皆で共有しました。
アドラー心理学における「勇気づけ」とは、相手が「自分には能力がある」「人びとは仲間だ」と感じるような「勇気」を高める水平的な関わりをさす。水平的な関わりとは、相手を勇気づけてやる、というような命令・服従の「タテの関係」ではなく、互いを尊重し、相手を一人前の人間と認める、フラットな「ヨコの関係」であることが重要である。
「勇気づけ」では、共同体感覚を伴う勇気を育てる必要がある。共同体感覚とは、自分および他者への基本的な「信頼感」、他者から必要とされ役に立っていると感じる「貢献感」、集団や社会に自分の居場所ある、他者とつながっていると感じる「所属感」である。勇気づけは、この共同体感を高めるための勇気を育てることである。そして、アドラー心理学の勇気づけでは、その好ましい結果だけを注視することなく、努力したプロセスや、以前よりも進歩・成長した部分に注目し、言葉かけをすることを重視する。(ex.がんばったね/~ができるようになったね/私も嬉しい!)相手が失敗をした時は、相手の不適切な「行為」と「人格」は切り離す。人格を否定すると、勇気・やる気を失いがちになる。
勇気づけのエピソード事例の分析からみえてくることは、「私のことをありのままに、親身に、肯定的に見てくれているし、心から支えてくれる。」と相手に伝わることが、勇気づけにつながる。勇気づけの関わりでは、それは、意図をもって関わる場合だけでなく、何気なく相手に発した言葉が勇気づけにつながることもある。(ex.ありがとう/助かります)また、与え手側がモデルとなって、勇気づけにつながる場合もあり、言葉だけでなく、声の調子、表情、身振り、姿勢、動作、雰囲気などのノンバーバル(非言語的コミュニケーション)が勇気づけにつながる重要な役割を果たす場合もある。
勇気づけは、一つのテクニックと捉えられがちだが、本当に相手の幸福を思う心が重要である。勇気づけは、伝播作用をもつコミュニケーションである。与え手が、他者の幸福に貢献できたことで勇気づけられ、勇気づけられた受け手もだれかを勇気づけたいと思うようになる。「誰かを勇気づける」⇔「自分を勇気づける」の循環の中で、自然に自分で自分を勇気づけることが身についてくる。
後半のワークⅠでは、7つの質問に対して、「勇気」を高めてくれた人たちを思い浮かべながら、そのエピソードを発表し合いました。友人、先生、先輩、コーチ、著名人、祖シスターなど、そのエピソードの中に、発表者の人柄も窺え、勇気づけられた体験がモデルとなって、他の人へ勇気づけをしていること(循環性・伝播作用)にも気づきました。ワークⅡでは、「勇気づけられた」エピソード事例から、各自で印象深いベスト3を選び、その後グループ全体としてのベスト3を発表しました。これらのワークでは、メンバーの体験談を重ねた話も沢山聞き合い、「自分を勇気づける」ことの認識を確認しました。
勉強会終了後は、池袋の台湾料理店にて懇親会が行われました。箕口先生や初参加の15期生、16期生の方々も交えて、カラカラになった喉に乾杯の飲み物が染み渡りました。お店側のちょっとしたハプニングで終了時刻が30分延びましたが、会話が尽きることはなく、共に語り合える仲間がいる事に幸せを実感しました。会は盛況のうちに、次回の勉強会での再会を約束して、20時に解散となりました。
(文:山口惠子)