金木犀が競うように一斉にオレンジ色の華をつけ、どことなく懐かしい甘い香りが街の景色をやさしく包んだ季節はあっという間に通り過ぎてしまいました。一時華やかさを競ったそのオレンジ色も褪せて花は散り、路上を埋めるさびしげな金木犀の華。風が吹けば一瞬にその姿は消えてしまう儚さに、時の流れの速さを思う今日この頃…皆様初めまして。この度Kissの会にめでたく参加を許され、初めて投稿させて頂く運びとなりました。
新参者にふさわしい、新鮮で初々しいそんな投稿を!!と考えてみたものの、年がいもなく初々しいなどと、もってのほかである!と気が付き、まあここの所は片意地貼らずに肩の力を抜いていくことにします。今日は10月10日体育の日。体育と言えば今年の夏はリオオリンピックで盛り上がりましたね。こんな状態で果たして大丈夫か…と心配された施設の整備遅れとブラジルの治安の悪さなどどこ吹く風で、終わってみればやはりラテンの国独特の明るさと軽快さ、そして根っからのお祭り好きの国の祭典が繰り広げられて、まぶしいほどの強烈な印象とたくさんの感動のシ-ンが私の心に焼き付いています。その中でも特に忘れられないのは、パラリンピックの走り幅跳びで銀メダルを獲得した山本篤さんの跳躍の姿です。
そもそも幅跳びとは助走の勢いでステップして、飛んでいる間に体を逆えびぞりになりながら跳躍して遠くに着地する、そう!逆えびぞりです。ちょっとイメージしてください。走り幅跳びは空中で逆えびぞりをしてその反動で両足を前に突き出して、なるべく遠くに着地するのが常道です。が、しかし山本さんは、助走をしてステップした瞬間に逆えびぞりにならないのです。踏み切った姿そのままふわ!と、空を飛ぶように空中に浮いた感じで着地するのです。山本さんの跳躍を見ていると、ふわ!と浮いている時、きっと体から余計な力が抜けているんだろうな!無駄な力が体に入っていないから、すぅっと体が浮いて空中を浮遊して、より遠くに着地ができるんだろうな!と、その感覚がなぜか私には共感できたのです。
どうして解るかというと、それは何を隠そう、私も空を浮遊したことがあるからなんです。たったったっ!と助走して勢いをつけ、今だ!!という瞬間に顎を挙げて、息を吐いてフッと全身の力を抜いたとき、私の体はふわっと宙に浮き、そのあとはまるでトトロみたいに夜の街の空を自由自在に飛んでいるのです。実は私、小学校の頃金縛りの夢ばかり見るので布団に入るのが怖く、よく夜更かしをした記憶があります。夢なんてろくなことはない!と思っていたのです。ところが中学校に入り、バスケット部のある先輩に出会った頃に、突然空を飛ぶ夢を見るようになりました。私は夢の中でさっきの様にたったったっ!と飛んでフッと息を抜いて脱力することで、本当に空を浮遊していたのです。それはもう最高に爽快な気分で夜の街の上空を飛びまわったものでした。夢もまんざらではない!
そして、私が空の中にすいこまれて溶け込み、まわりの一部として同化してその世界の点となりきれた時、私は妙にそんな自分を客観的に見つめることができるのです。ほら、今私があそこに浮いている、今私が星空の中を、ネオンライトがきれいだな!なんて思いながら飛んでいる・・・。あぁ、私は今恋をしているんだなぁ~! 今日私は恋に落ちたらしい~。 きもちいいな~。
とまあ「恋に落ちて」の体験は人それぞれだと思いますが、私の場合はこんな感じでした。そして、この時見た空を飛ぶ夢はたいそう気分が良かったせいか、そのあとしばらく、恋などしなくても良く空を飛ぶ夢を見るようになったのです。大切な部分はまあ置いといて、都合の良いとこだけ楽しむ性格は、このころから着実に私の中に根付いていたようです。
宮崎駿さんのアニメでは、空を飛ぶシーンがとても印象的ですね。「ナウシカ」「ラピュタ」「トトロ」「魔女の宅急便」「想い出ぽろぽろ」「耳を澄ませば」「もののけ姫」「千と千尋」「猫の恩返し」「コクリコ」など、どんな形であれどこかで何かが空を飛んでいます。特に恋をした主人公の女の子は、必ず空を飛んでいます。宮崎駿さんにとっては、天空や海中 が自由と開放のシンボルみたいになっていて、そこを気ままに浮遊するイメージが、その時の主人公の心の中を一番的確に表現する方法だったのだろうと。一方トトロや紅の豚が空を飛ぶのは、男のロマンとかっこよさの追求、頼りがいのある強さと、ふくよかさは優しさの象徴!と、私の勝手な宮崎アニメに対するいち考察であります。
余談ですが私、今はよく崖っぷちから奈落に落ちる夢を見るのは、どうしてでしょう?という事で、本日のテーマは「空を飛ぶ」とでもしておきましょうか。ご静読、ありがとうございました。 (山縣)
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