広島・長崎の原爆投下から、今年で80年になる。昨年10月、被爆者の立場から国内外に核兵器廃絶を訴えてきた日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)へのノーベル平和賞が決定し、12月10日にノルウェーの市庁舎で授賞式が行われた。
偶然であるが、RSSCウィメンズクラブの10月定例会では、会員の紹介で「戦後79年:思い出すままに平和について考える」との講話を行った。塚本美和子さん(90歳)は当時10歳で縁故疎開をしており、ご両親が被爆された1週間後に広島へ戻られ、原子爆弾投下後の家族や広島市内の様子を伺う貴重な機会に恵まれた。
塚本さんは、50代半ばに東京都原爆被害者団体協議会に属し役員となり、小中学校で被爆体験を伝える活動をされて、ワシントンD.Cで1週間過ごし国連に3度、84歳時は17か国の大使にスピーチ(英語)をなさっている。また、ピースボートに2回乗船し2回目には船を離れてニューヨークで、サーロー節子さん(広島女学院の2年上の同窓生)と共に行動する等、現在も勢力的に活動をなさっている方です。
80年の月日が経とうとも、つい昨日の出来事のように原爆投下後の家族や広島市内の様子を、克明にゆっくりと哀しく辛い思いを堪えながら話されていた姿に、これまでの心の葛藤や様々なご苦労を感じ、胸が痛む思いでお話しを伺った。

「核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず」を宣言しアジア平和への貢献を理由として、佐藤栄作元首相は1974年に日本初のノーベル平和賞を受賞したが、広島・長崎に原爆投下されて80年経ってもなお、「核抑止論ではなく、核兵器は一発たりとも持ってはいけない」と世界へ訴え続けている日本被団協の方々の意味を、ノーベル平和賞授与されたことによって、更に私達は今一度再認識しなければならいのではないかと強い想いを感じた。
90歳のご高齢でいらっしゃる塚本さんとご一緒されていた皆川悦子さん(84歳)から、お話しの最後に「今この本を読んでいます」と『なぜ原爆が悪ではないのか アメリカの核意識』(宮本ゆき 2020、岩波書店)の紹介を受けました。
アメリカがどのような核兵器の意識を持ち、それがどのような「語り」で、人々の共感を得て、現在の核保有国としての体制を維持してきたのか、その基盤を文化や歴史から読み解いていくことで、この溝を超える見識が得られないか、それが本書の目的とするところです。(出所:『なぜ原爆が悪ではないのか アメリカの核意識』)
相手国に対して、原爆の見識を深め理解しようとしている皆川さんの姿勢に頭が下がり、ご自身の気持ちを堂々と言い切る姿に、強い決意を感じた。
ウィメンズでは、2月の定例会で紹介された『なぜ原爆が悪ではないのか』の本を読んでの感想と意見交換を行った。著者は、日本とかけ離れた核意識は「語り」によって埋められない溝(教育、ポピュラー・カルチャー、軍隊、宗教政策、ジェンダー、放射能被害、被ばく)があると問うていた。その溝について、それぞれが感じた事を話し合った。延いては日本被団協の方々がノーベル平和賞を授与された事に対し、お粗末な日本政府の対応にも意見があった。
原爆被害者の方の平均年齢は85歳(2024年12月11日毎日新聞)。直接の体験者として、証言して下さる年月には限りがあり、この80年の平和を、改めて考え話し合う大きなきっかけとなった塚本さんと皆川さんとの出会いは、心の財産だと感じている。
「日本(みな)の声 世界の人々(子)らへ 願い繋ぐ」(7期生 梅本)
<<Kissの会は、RSSC同窓会ホームページへの投稿サークルです>>
【Kissの会 連絡先】 kiss7th.rssc@gmail.com
【投稿履歴/Kissの会 webサイト】https://rssc7thkiss.jimdofree.com/
この記事の投稿者
最新の投稿記事
期生会2025年3月21日【Kissの会 第203回投稿】「平和の願いを繋ぐ」
会員皆様からの投稿2025年3月11日【Kissの会 第202回投稿】「春が来た!」
会員皆様からの投稿2025年3月1日【Kissの会 ゲスト投稿no.123】「食わず嫌い」
会員皆様からの投稿2025年2月21日【Kissの会 メンバー投稿no.201】「歳月を紡ぐ、仲間との旅」