RSSCスピリットの発展形への期待

木下康仁

セカンドステージ大学が始まって15年。私は設立の構想段階から関わり、開学後も講義とゼミ、運営委員会に参加してきた。構想の出発点は団塊世代が定年退職を迎える時代に大学の社会的貢献の一つとして新たな学びの機会を提供しようというものであった。RSSCは長くなった退職後の人生の生き方を、仲間との交流を通して考えていく第二のモラトリアムの時期である。学びの対象は知識だけでなくそのプロセスであり、ゼミ生などから「この機会がなかったら人生についてここまで深い話ができる人たちに巡り合うことはなかった」といった感想が語られた。偶然の出会いを必然に変えていくダイナミズムがRSSCにはある。

 立教を定年後聖路加国際大学に勤務しているが、2022年度から立教と合同開講で「いのちを彩る智慧(Health Humanitiesへの招待)」という科目が始まっている。聖路加側は健康教育が専門の菊田先生、立教側はコミュニティ福祉学部の石渡先生(2022年度)と後藤先生(2023年度)がコーディネーターとなり、聖路加の看護の学生と立教の学部生、それに、RSSCの学生さんも加わり、両校のキャンパスを使って多彩な授業が行われている。両校の教員だけでなく外部講師も多領域にわたり充実した構成で、聖路加では施設見学も含まれる。RSSCの学生は立教でも全カリ科目の履修ができるが、この科目は比較的小規模のため、立教にはない看護学部の学生とのディスカッションは双方にとって刺激になっている。私も一部を担当しているが、リアクションペーパーをみるとRSSCの学生の参加は全体のやり取りを活発なものにしており、それぞれにとって深くものを考える機会になっている。

 関心のある方はぜひ参加を。