先生の第2詩集「鬼は来る」が、この7月7日、七夕に七月堂より上梓された。前詩集は2021年に若き日に書きためた詩に手を入れて出版されたそうだが、今回はその後の詩業によるものとのことだ。我々は逃げ切り世代と揶揄されるが、70歳を過ぎて「歴史のカーブ」を受け止められ、言葉を紡ぎ続けられることに驚かされる。
 地名とリンクしている形式は前詩集と同様で、我々にとっても馴染みのあるところが多く、詩の世界に近づけてくれる気がする。
 その地名は「全球的に変調する球体が宇宙の暗闇の真ん中で血を吐いている」Google Earthの眩暈するディスプレイからズームされているのだ。私観ではこの地名からズームアウトし、球体の全体に上向する思索が可能であり、これは千石先生からの贈与ではないかと受け止めている。

本田耕三