「甲州街道内藤新宿をたずねて」

 2022年12月3日、初冬の一日。加藤先生とゼミメンバー7人は、「旧き町並みをたずねる」シリーズ第3回目として、内藤新宿と四谷大木戸の旧跡をたずねた。

 内藤新宿は江戸時代、甲州街道における江戸日本橋から最初の宿場として、高遠藩内藤家中屋敷辺りに開設された宿場町である。最初にたずねたのは、内藤家の菩提寺である大宗寺。新宿通りから一筋入ると、人影もなくひっそりとした境内が広がっている。江戸時代には甲州街道に面し、寺院、門前町共に栄えたという。ここ大宗寺には江戸六地蔵の内、第三番となる地蔵菩薩座像や、都内最大と言われる閻魔大王、またそれに仕える奪衣婆像(当時の妓楼の商売神でもあった)などが祀られている。

 四谷大木戸は、甲州街道における江戸への出入り口である。現在では四谷四丁目の大きな交差点となり、その片隅にある小さな石碑がその場所を今に伝えている。当時この四谷大木戸には、玉川上水水番所があり、羽村堰から引かれてきた玉川上水が、ここから石樋、木樋を通って江戸市中へ送られたという。現在この地には、東京都水道局が入る大きな建物が建ち、その一画に玉川上水水番所と四谷大木戸がここにあったことを示す石碑が建立されている。

 内藤新宿(新宿)と四谷の境となる四谷大木戸と現在の四谷四丁目交差点、玉川上水水番所と東京都水道局。これらを見ると、土地の持つ記憶、歴史、人との関わり、それらが300年余りの時を経て、現在まで受け継がれていることに気付かされる。

 

 歩き疲れた後の会食は、四谷大木戸藪蕎麦へ。内外共に趣のあるつくりで、江戸の雰囲気も味わいながら美味しいそばをいただき、ここ内藤新宿、古の賑わいに思いを馳せた。

加藤ゼミ 佐藤勇一