今年度から本科ゼミナールを担当しています。同窓会の皆さんとは「はじめまして」ということになります。心理学が専門ですが、心理学にもいろいろな領域があって、私は実験心理学という領域で研究をしてきました。

 昔に比べると実験心理学の存在は世の中でおぼろげながら知られるようになってきたと思います。ただ、その中身、つまりどのようなことが、どのような実験方法で研究されて、どのようなことがわかったか・・・という具体的な学問の内容は今でもほとんど知られていないようです。このことは、RSSCで講義を担当したときのリアクションペーパーを読んで改めて感じました。実は実験心理学には、ほぼ一世紀半にわたる、それなりに長い歴史があります。にもかかわらず、いまだに〈何をやっているのかよくわからない学問領域〉と思われている(らしい)。専門に仕事をしてきた者としては反省しなければなりません。RSSCの講義を通して実験心理学というものを知っていただく努力を続けていきたいと思います。

 ゼミナールについては、これはまったく正直な感想なのですが、私の方が学ぶことばかりです。受講生の皆さんが修了論文という目標に向けて着実に成果を積み上げていく様子には、それぞれのファーストステージで培われた高い能力をまざまざと見る思いがします。こちらの出る幕など無いようなものですが、研究の進め方や論文の書き方についての助言など、いたって一般的な部分で、かろうじて教員の務めを果たしているように思います。

  RSSCの新米教員にはまだまだ試行錯誤の日々が続きそうです。工夫を重ねながら受講生の方々の学びをサポートしていきたいと思います。

この記事の投稿者

編集チーム 十四期生