「横浜建築散歩」

10期生:佐藤勇一

 港町横浜に移り住んで3年余りが経った。横浜ベイエリアには、明治、大正、昭和初期に建てられたいくつもの歴史的建物が、今でも現役として風格ある街並みを形成している。この街を知るための一つとして「横浜建築散歩」と称し、馬車道駅あたりから山下公園まで歴史的建物をたずね、その由来、設計者、エピソードなどを調べてみた。その数30件。その中からいくつかを紹介しよう。

 横浜の有名な建物と云えば、キングの塔(神奈川県庁)、クイーンの塔(横浜税関)、ジャックの塔(横浜市開港記念館)をまず上げられるが、圧倒的な存在感で見る者に迫るのは神奈川県立歴史博物館。海側より馬車道に入り右側にその偉容を誇る。この建物は明治37年に正金銀行横浜支店として建てられ、関東大震災にて大きな被害を受けたものの、昭和42年に改修され元の姿を取り戻した。ネオバロックと呼ばれる古典様式により装飾の施された重厚なる石積みの外壁と大きなドームが特徴である。

 街角に建つ建物として美しいのは先に上げた横浜市開港記念館。本町通りとみなと大通りの角に建つこの建物は、大正6年に開港50周年を記念し、市民のための公会堂として建てられた。赤煉瓦と白い石による横線でデザインされた壁面は、辰野式(辰野金吾設計の東京駅に代表される様式)とも呼ばれ、コーナー部分のスリムな時計塔は街角のランドマークとして港町横浜を代表する建物ひとつである。また建物の中に入ると美しいステンドグラスが明るい色彩を奏でている。そのひとつには、横浜開港時の来港船(黒船)ポーハタン号が描かれ横浜の歴史を伝えている。

 秋になると日本大通りのいちょう並木が黄色く輝き、両側に並ぶいくつもの歴史的建物と美しい街並みを見せてくれます。皆さんも建築散歩、いかがでしょう。