「自分らしく最後まで」を担当しております小谷みどりと申します。死生学の研究者ですが、3年前に50歳になったのを機に、気力体力があるうちに、アジアの若者のために尽くしたいと、勤めていたシンクタンクを退職しました。

 アジアの中で唯一行ったことがなかったカンボジアで、貧しくて学校に通えなかった若者たちに、職業支援のための小さなパン工房を立ち上げました。これがなかなか刺激的で、掛け算や割り算ができないので材料の計算ができない、簡単な英単語も一切通じないという若者たち相手に悪戦苦闘の日々。コロナ禍の2年間は、会ったこともない失業者たちに住む場所を提供し、なんとか生き抜いてもらう支援をしました。

 働きながら夜学へ通っている若者は、貧しい親から学費までも無心され、休学する羽目になったり、せっかく製パンの技術を身に着けても、親から「畑を手伝って!」と言われ、あっさり仕事を辞めたり。

 騙されたりもしましたが、「マム!」と慕ってくれる若者が何人もいますし、家族同然の親友もできました。私の方が、彼らから大きな学びと経験をいただいています。

 死生学者としては、身寄りなし問題に関心を持っています。また、配偶者と死別したRSSCの学生やOBOGたちと「ボツイチの会」を結成し、亡き配偶者の分も人生を楽しもう!と、情報交換と称する定例飲み会も継続しています。

 これからも、社会の一員としてアンテナを張り、自分に何ができるのかを考えていきたいと思っています。

プノンペン空港にて、家族同然のカンボジア人ファミリーと(2022年8月24日)

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編集チーム 十四期生