「同窓会」とは?

高 橋 輝 暁
立教大学名誉教授
立教セカンドステージ大学講師

 「同窓会」と聞いて思い出すのは、卒業式でもよく歌われた唱歌『蛍の光』だろう。「蛍の光 窓の雪/書(ふみ)よむ月日 重ねつつ/いつしか年も すぎの戸を/明けてぞ今朝は 別れゆく」―この歌詞には確かに「窓」が詠われている。その外に見えるのは、「雪」だ。
 「蛍の光 窓の雪」は、中国の晋時代にあって苦学生だった車胤(しゃいん)と孫康(そんこう)の故事に基づく。唐代に編纂された『蒙求』(もうぎゅう)には「孫康は雪に映じ、車胤は蛍を聚(あつ)む」とあるそうだ。『広辞苑』によれば「蛍雪」(けいせつ)が「辛苦して学問をすること」を意味するのは、「車胤は貧乏で灯油が買えず、袋に蛍を集めてその光で書を読み、孫康もやはり貧しかったため、雪明りで書を読んだ」ことに由来する。ふたりは、このように苦学して偉くなったという。『源氏物語』では、「窓の蛍」が「苦学のたとえ」から転じて「学問」の意味だ。
 デジタル社会へ邁進する今日、RSSCも一部のオンライン授業を恒常化、この秋学期には、対面授業もミックス型になる。オンラインのライブ視聴も可能なのだ。RSSC修了後も、モニターの「窓」を見つめながら学び、「ホタル」ならぬ「デジタル」の光で「書よむ月日 重ねつつ」、セカンドステージの日々を充実できる。仮に「デジタルの光 窓のモニター」と歌って「別れゆく」としても、引き続き、どこからでも、オンラインの「窓」を覗けば、学びの「窓を同じくする」仲間と会える。その魁けとして、「同窓会」がオンラインのホームカミングデーに参加するのは、デジタル時代を生き抜くことになる「同窓生」にとって、まさに「デジタルの光」だろう。