オンライン授業の新たな可能性

野澤 正充

 2021年度春学期に「現代社会と民法」を担当した野澤です。昨年に引き続きオンラインですが、ホームカミングデーの開催をお慶び申し上げます。

 昨年春のコロナ禍により、大学は急遽オンライン授業に切り換え、教員も初めての仕組みに大きなストレスと戸惑いがあったと思います。昨年度は、私自身は幸い、秋学期からの授業でしたので、それなりの準備をして授業に臨むことができ、大きな混乱はありませんでした。むしろ、130名ほどの法学部の授業では、「画面共有」機能によりレジュメや画像をアップでき、また、チャットや指名により直接に学生とも対話ができたため、オンラインを有効に活用できました。

 この春学期のRSSCの上記科目では、28名の登録があり、初めて「ブレイクアウトルーム」機能を多用しました。毎回、任意の4名が1組となり、7つのグループができて、それぞれが活発に議論しました。テーマは、成年年齢の引下げやNHK受信料請求の可否、誤って他人の口座に振り込みをした場合の返還請求の可否など、民法に関する時事的な問題でした。そして、RSSCの受講生は様々なバックグラウンドを持たれていますので、とりわけ誤振込みの事案では、銀行や債権回収、裁判事務に携わっていた方など多彩な面々で議論が尽きず、1限の授業でしたが、授業終了後も当日の夜までメールで熱心なやりとりをしたことは、とてもよい想い出です。この春学期の授業は、おそらく対面ではこれほどの盛り上がりがなく、オンラインに特有の機能があってこそのものだったと思います。

 とはいえ、2次元のオンラインでは、当然のことながら奥行きがなく、人間関係は希薄のままでした。春学期の終了後に、数名の受講生がわざわざ研究室に遊びに来てくれましたが、開口一番の「先生、画面と同じ!」という言葉には、思わず苦笑しました。

 

この記事の投稿者

編集チーム 十一期生