日本中、世界中の多くの皆さん同様に、私もこの3か月ほど家にこもっていた。話をするのは同居家族の三人と(夫と娘と息子)だけ、外出は食材等最低限の品物のまとめ買い、月1~2回の歯医者と整体、クリーニング店とお墓参りぐらいだった(1時間半あれば車で両家に行って来られる)。症状がないのに感染している人もいるそうなので、都内に住む息子夫婦と孫に会うことも控えた。母の日にカーネーションが届いた。次から次へと花が咲き、いつものように季節は進んだ。けれども、世の中は一変してしまったのだ。

5月25日、北海道と首都圏でも緊急事態宣言が解除となった。新しい行動ルールに従って、動ける人は、慎重に、動き出していったらいいと思う。でも、私はまだ当分は警戒を緩めず、家にいるつもりだ。新型コロナウイルスに感染したくないからだ。

第一に、人に迷惑をかけたくない。夫と娘は金融機関勤務、息子は独立行政法人の決算担当者で、それぞれ仕事を休めず、緊急事態宣言の間も、2チームに分けて交互に自宅待機、WEB会議を行う等、出勤日を減らし全員が顔を合わせない工夫をしながら、業務を続けていた。もし社員本人あるいは家族が感染してしまったら、直ちに会社に報告しなければならず、店舗の閉鎖もありうる。どこも今まで一人も感染者を出していない。これは関係者全員の節制の賜で、私も絶対に第一号になるまいと思っている。

第二に、切実な体験からそう思う。1月半ばの夜、近所のジムで泳いだ後に急激な体調不良に見舞われたのだ。一昨年前に膝を痛めてから膝に負担をかけずに体力をつけようと考え、まともに泳げなかったクロールを習って1000m泳げるようになっていた。その日も1時間足らずで20往復して帰宅したら、鼻水がツーッと出て止まらなくなり、悪寒とともに喉、頭、お腹まで痛くなってしまった。うちの洗面台の左側にヤクルトでもらったインフルエンザ等の感染症のパンフレットが貼ってあるのだが、まさに書いてある通り「ウイルスが感染3~4時間で増殖」したようだった。常備していた市販の風邪薬を飲んだがなかなか効かず、何時間も苦しんだ。ありがたいことに、翌日には症状が消え、熱も36.7°だったのが36.2°になった。

薬がうまく効いてくれたのには犬のご加護もあったのかもしれない。村田喜代子の「科学の犬」という短編小説を読んで以来、「効かなければお苦しみになったわんこさまに申し訳ない」と身体に言い聞かせ、気合を入れてから薬を飲むようにしている。動物実験のことを知ったからだ。

半分は冗談だが、本当に、私は何者かに深く感謝すべきだと思っている。2度も助けてもらった。実は、1月末にもう1度泳いでいる。いつも何でもなかったのだからあれはたまたま調子が悪かっただけかと……。結果は同じことが起き、今度こそ懲りた。ショックでしばらく安静にし、2月後半になって数回筋トレに行ったものの、不安が高まり、3月から休会にした。その後しばらくして、ジム自体も休業になった。

そこから得た教訓は、「開けた口に直で入るのが一番危険」ということだ。あれが新型コロナなら、重症化して誰にも看取られずに死ぬことだってあり得たのだ。私は8年前に気管支肺炎になっている。弱者の自覚を持って行動しようと思う。

TVでは「刑事モース オックスフォード事件簿」、「100分de名著 カミュ『ペスト』」、「いいね!光源氏くん」、「鬼滅の刃」等がよかった。ローリングストーンズの4人がSTAY HOMEして同じ曲を演奏している合成映像、特にミック・ジャガーの伸びやかな歌声とエアーでドラムをたたいていたチャーリー・ワッツが素敵だった。
(7期 安孫子)

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