日本に一番近いヨーロッパと言われるウラジオストクで、世界三大バレエ団の一つ「マリインスキー・バレエ」を鑑賞し、伝統のウラジオストク国立サーカスを満喫。金門橋を一望する鷲巣展望台で、ウラジオストク自由港の全景を眺める。極東ロシア沿海地方の海鮮料理に舌鼓をうち、伝統のボルシチ等の郷土料理も大いに味わおう。
こんな意気込みで、私を含めた中年熟女4人の旅は、ホテルと航空券のセットをエクスペディアで予約しただけで、その他の行動はすべて自己責任。出発前からロシア語のホームページを眺めながら、とにかくバレエの予約だけはできた!! 1人17,000円は高いけど演目は「アンナ・カレーニナ」。奮発しちゃえ!クレジットも通ってチケットもちゃんとプリントアウト、これでOK!! と思いきや、よくよく眺めてみれば同じマリインスキーでも、「サンクトペテルブルグ」と書いてあるではないか!!
ロシア大陸を挟んだ真逆の都市のバレエを予約してしまったらしい。急いでキャンセルをしようにもロシア語はちんぷんかんぷん。英語に翻訳してみても肝心のことが把握できず、半ばあきらめていたところ、友人の伝で外務省のロシア担当を探し出して頼み込み、無事キャンセルにこぎつけた。出発前からえらく疲れる旅となった。
結局ウラジオストクのマリインスキー劇場は6月半ばから約一か月半お休みと判明。バレエはあきらめてサーカスの当日券に賭けよう!と、勇んで出発。
成田からのフライトは約2時間ちょっと。「クネヴィチ」空港から中心街へはタクシーで約45分。フロントガラスに軽くひびの入ったタクシーで、いよいよ日本に一番近いヨーロッパの街目指してGO!
さて、なぜ珍道中になったかというと・・・
ウラジオストクの街はそれほど広くないので、近場の観光名所を巡るのは歩いてせいぜい45分範囲。ちょっと遠くへはバスがあるが、言葉が分らないから歩いちゃえ!!という事で、今回は徒歩移動を中心に企画をたて、サーカスまで歩く事30分。迷い迷いようやく到着したら、何と2週間の閉館中という張り紙が。ちなみに張り紙はグーグル翻訳というアプリで読み取ることができる。
ならば鷲巣展望台で風に当たろうと、歩き疲れた体にムチ打って、ケーブルカー目指してまた歩き出し、たどり着いた乗り口に何やらまた怪しげな張り紙が。ここでまたグーグル翻訳の登場。嫌な予感が・・。
「ケーブルカーは保守点検で休止。階段を登れ」と書いてある。これからまた階段のぼりですか(-_-;)
そんな旅の中で、たまたま中央広場で開催されていた市場に足を踏み入れた。ウラジオストク市民の胃袋を支えるとあって、とにかく食の宝庫であり、どれも馬鹿みたいに安い。女子?はこういう市場に来るとなぜかテンションが上がるもの。スモークサーモンを始めとする燻製魚の香り。ゆでたてのエビはプルプル。様々な蜂蜜にコムハニーも格安。もちろんビーツを始めとする色とりどりの野菜もいっぱい。ロシアの広大で豊かな大地が育む庶民の暮らしが手にとるようで、わくわくしてきた。昨日流した汗と涙も忘れてしまう。
結果的に3泊4日、正味2日の旅で期待した鑑賞は全滅、予定した観光は苦行となった。2日にわたる2万歩を超える歩数計の数字を眺めながら、これも旅のいい思い出と、市場で買いあさった土産を抱えて帰国の便に乗る。
さらなる追い打ちは帰国した日から始まったひどい下痢と脱水症状。お土産の安物キャビアやサーモンやはちみつなどを眺めながら2日間おかゆの生活をおくり、私のウラジオストク珍道中は終わりを告げた。
孫に買ったマトリョーシカが、じっと私を見つめている・・・。(7期:梅原)
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