東・南部アフリカの旅
2018年の夏も東・南部アフリカを目指した。この年にはインド洋岸に位置するタンザニアのダルエスサラームから、内陸国マラウィのブランタイヤを目指した。片道、約2000キロメートルの旅であった。これをさらに南進すると南アフリカにいたるが、それも馴染んだ道である。各地で旧交をあたためるべき人もいるので、旅はゆっくりと進んだ。道はアフリカ地溝帯を縫いながら続き、ときには高原や湖の眺望を楽しみながら旅することができた。
アフリカのイメージは人によってさまざまである。それでも酷暑、あるいは熱帯のジャングルなどを思い浮かべる人も多いだろう。これはどんな経緯で広まったイメージか不詳であるが、それなりに広く行き渡っている。シュバイツァー博士もアフリカに行く前は、アフリカでの強力な日射は、それがトタン屋根の小さな穴からさしたものであろうと、人を射すくめて重篤な状態に陥れると恐れた。
アフリカ大陸は実際は巨大で多様な地域であり、寒くて氷河ができ、乾燥した畑ではブドウが栽培されるようなところもある。その中には山川を望んで、ここで生活したら寿命が延びるのではないかと思わせるところもある。また、死後もここにとどまって風光を楽しみつつ変化を見届けたいと思わせるところもある。RSSCとの縁でポール=ラッシュさんが日本に留まる強い決意をもっていたことを知った。彼にはもちろん使命感、情熱もあったであろうが、その背景には日本の山川に魅了されたこともあったと思う。
私もアフリカの土地に魅了されて数十年を過ごしている。私の場合は、シュバイツァー博士やラッシュさんより時代が下っているので、魅了されている土地は、かならずしもアフリカの数カ所だけではない。アジアの各地にも引きつけられ、出かけることも、テレビの紀行番組を見ることも多くなっている。どこに住んで、どんな生活をしようか、ある程度選べることはありがたい。その因果をしばらく考えたい。
立教セカンドステージ大学教員
栗田和明
アフリカ大陸のほぼ最南端、ケープタウンのテーブルマウンテン。
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