2025年9月月21日に開催いたしました『第14回アートセラピー・ウクライナの皆さんとの交流会』の模様を紹介します。今回は日本の参加者10名、ウクライナの参加者1名、合計11名での開催となりました。今回も1名の初参加の方をお迎えし、とてもフレッシュな雰囲気の中での活動となりました。

 今回の第14弾のアートセラピーは『あなたにとって“脆弱である”とはどういうことですか?』(自分に自信が持てないと感じることはありますか)というテーマで、それぞれが思い思いに作品を仕上げていきました。テーマが少し重苦しい感があり、うまくイメージできず苦心しましたが、参加者がこれまでの人生を振り返り、自分の過去と向き合うことによって、自分自身の心の中に眠る恐怖心やトラウマなどにたどり着き、同時に脆弱とはどのようにして生まれてくるのかという着眼点から、人は脆弱を持ち合わせているからこそ、他人に対する“やさしさ”・“思いやり”・“気遣い”などの心が芽生え、人間性を高めていくことができるのだと気づかされました。

仕上がった作品には、『脆弱』というワードが様々な角度からとらえられて表現されておりました。

・自分の脆弱を隠すために建前でカバーしようとする自分がいる

・脆弱だと思っている自分の世界が、小さな思い込みの世界であったことに気づいた

・人と人とのコミュニケーションの密度によって自身の脆弱は少しずつ解消される

・自分の脆弱に気づいているからこそ立ち止まらずに常に行動する

・未来の孤独に対する心の不安が、自分の脆弱の正体だと思った

・身体的に脆弱を感じると、考え方・生き方のスタンスが変わってくる

このように個人の脆弱をアート作品で表現した人が多数を占めた中、社会や世の中の脆弱に対して表現したアート作品もあり、アートを通して参加者の感性の違いがとても面白く新鮮に感じられました。

 今回のアートセラピーもそれぞれの作品を深彫りすることで、脆弱とは人間だれもが持ち合わせているものであり、脆弱が存在するからこそ他人を思いやる人間らしい生き方に繋がり、さらには世の中や社会の脆弱にも関心の目が届くのではないかと実感しました。

 ただし、世界各地で様々な争いが繰り返される現状を垣間見ると、争いを続けている国や地域の指導者の心に潜む『脆弱』が、一方では攻撃的に反映されてしまい、紛争エリアで苦しむ人々が存在していることも、決して見過ごすことのできない事実であります。人々の心の奥底に眠る『脆弱』というワードが、人との濃密なコミュニケーションによって“思いやり”といった友好的なものに形を変えることもあれば、希薄なコミュニケーション不足によっては相手を傷つける攻撃的なものにも変わってしまうということを、今回のアートセラピーを通して学ぶことができました。

 今後も定期的に継続して活動していく計画です。プロボノ研究会の活動にご興味のある方、アートセラピーに興味のある方はぜひお声がけください。    

                 RSSCシニアプロボノ研究会 15期生 中川與和

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RSSCシニアプロボノ研究会