COVID19の嵐が吹き続ける中、2020年も暮れようとしている。この10か月、皆さんは新しい生活様式とどのように向き合ってこられただろうか?自粛期間中、私は突然降ってわいたような時間を使って何度か断捨離を試みた。挫折の連続であった。

何故断捨離がうまくいかないのか、言い訳を考えてみる。開かずの間と化した部屋にはシミのついた書籍、印刷物、絵本、工作道具、古いPCが雑然と並ぶ。これらは長い年月見ぬふりをしてきた不用品だが、見方を変えれば私の来し方そのものでもある。人(私は)はそう簡単に過去を捨て去ることはできない。ならば衣服の断捨離にトライ!とクローゼットを開ける。主をなくした服や何年も出番がなかった服がぎっしり詰め込まれている。断捨離と銘打つ「〇〇の片づけ法」によれば、手にした際のときめき感が処分の基準だ。ときめくものなどないから、手放す判断は簡単だ。しかし、当方はその手放し方に少しばかりこだわってしまうのだ。

不要となった衣服は①焼却ごみ②資源ごみ③リユースに分別される。破損、汚れがある服は躊躇なく焼却ごみ、資源ごみに分別できるが、質が良い物や高額だった服は処分の判断に困る。かつて美徳とされた「もったいない」という気持ちがつきまとう。できればリユースの道を選択し、だれかに使ってもらいたいのだが・・・。

これまでブランドの売れ残り服はすべて焼却処分されてきた。しかし、捨てられる運命の新品を買い取り、タグを外して1000円以下で販売するビジネスがあると聞けば、とても古着をもらってと言いにくい。やはり不要な衣服は捨て去るしかないのだろうか?日本では年間33億着・100万トンの衣服が廃棄され(アメリカはなんと1300万t!)、焼却処分されているという事実。衣料焼却によるCO2の大量発生も新たな環境問題として浮上している。

私が引っかかるのもまさにここなのだ。手放した後のゴミの行方はどうなるのか?先の「〇〇片づけ法」は、欧米でもたいそうな人気で断捨離という名の下に様々な物が大量に捨てられ、焼却されているという。確かに物がなくなって住まいも心もスッキリするだろうが、地球のゴミは増える一方だ。

とすれば、焼却するのではなく、ごみを出さないための発想の転換とリサイクル材の新たな活用化が求められる。衣料廃棄物を素材とした擬木から家具やボートを生産する試みや回収した使用済み自社製品から新たな製品を作り出すという取り組みはすでに始まっている。リユースの観点からはサイズアウトした子供服の買い取り・販売をビジネス化している企業や、子供服そのものをシェアするという考えを実践する若い世代が増えている。さらにブラックフライデーに、『新作のないファッションショー』を企画したメルカリの発信力はお見事。過剰な消費からの転換を目指す〈グリーンフライデー〉の取り組みは、待ったなしのSDGsに背中を押される形で世界中に広がりを見せている。

断捨離とはヨガの修行思想で、外界へ繋がる邪念を断ち、捨て、手放すことで、思い悩むことなく、何物にも囚われない生き方を手にしようとする思想である。断捨離の極意はモノに囲まれ、使い捨てシステムにどっぷりつかってしまった私たちの意識を変革すること。物を捨てることではなく、端からモノを持たない生き方を選択することだ。物を大切にし、使い切るというささやかな行為が傷ついた地球を救うことに繋がると信じたい。

それはさておき、目の前の不用品をどう処分したものか・・・。(7期)齊藤

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