安倍政権は2,3年前より一億総活躍社会を提唱しています。それを後押しするようなかたちで、いろいろなメディアを通して、シニア層の社会参加が促されています。 しかし、現実は本当にそのような方向になっているのでしょうか?
私はRSSC在学中から、あるシニア専門の派遣会社でアルバイトをしています。その会社は事務系の定年退職者を主に中小企業などに派遣しています。私は、登録者の面接を行う事もありますし、企業様からの依頼の対応も行っています。ですから、日々シニア層の働く状況を知ることのできる環境にいます。
派遣社員の勤務日数は週5日のフルタイムから週1日まで、さまざまです。一番多いのは週3日位で、月収にしますと10万円〜12万円位になります。 勤務者の平均年齢は65歳前後です。
勤務者の7割は男性で、働く理由を伺うと、「時間を持て余している。家に居られない」という方が多いです。中には年金だけでは生活出来ないので、働かなければならないという方もいます。特に女性の方はほとんど、この理由です。
勤務者の中には、定年まで大手企業にいて、派遣で初めて中小企業に勤務する事になったという人が結構います。その様な人の中には、折角勤務しても、中小企業の社風、オーナーの経営方針に合わなくてすぐに辞めてしまうよう人もおりますが、中には4年以上も続けている人もいます。
そういう方々の特徴は「人柄が良い・真面目・若い経営者に上から目線でものを言わない」などメンタル面での共通点があります。過去の肩書をいつまでも忘れられないような人は続かないという事になってしまいます。
働く上で重要視されるのは、やはりパソコン能力です。いくらシニアと言っても事務系の仕事をするには、パソコン能力は必須です。時にメールの使い方も分からないような人がいますが、そのような方に仕事を紹介するのは難しいです。
私が勤めている会社の顧客(派遣先)は主に中小企業と申しましたが、顧客が当社に依頼してくる理由は、「若い人を採用したけど、なかなか良い人材が集まらない/社員が急に辞めてしまい、その仕事をする人がいなくて困っている/正社員を雇う程の予算がない」等がほとんどです。
私の私見だけでなく、客観的な情報として下記のデータを記載しました。出典はリクルートジョブセンターです。これは、シニアの働く状況をかなり的確に反映している内容だと思います。
この調査で見えてきたこととして、
≪シニア層は「責任感」「勤怠と健康」「経験・スキル」を強みと認識してまだまだ働けると思っている人が多い。反対に、70%以上の企業はシニア採用に積極的。健康状態やスキルに対して不安を感じている。≫ とリクルートは報告しています。
しかし、この調査にあるように、シニア層採用に積極的ではい企業のうち3割程度は、採用しない事への特別な理由はないのですから、シニアがそれぞれの強みを活かして行くことにより、活躍の場は広がっていくのではないかと、私は思っています。(7期生 松田勝子)
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