【歌が呼び起こす記憶と風景〜「歌が照らす人と社会」の彩り】

佐藤壮広

 セカンドステージ大学で学んだ皆さん、現役の学生の皆さん、今日はどんな音楽を聴いていますか。周囲では、どんな曲が流れていますか。私が担当する「歌が照らす人と社会」も開講してから10年以上たちました。クラスの学生たちの顔ぶれも、1960年代にビートルズに熱狂した世代から、1980年代のサザンオールスターズやユーミンを聴きながら青春を謳歌した世代へと移り変わってきました。授業で書いてもらっているレポート「私のこの1曲」にTRFや安室奈美恵、KIROROなどが出てくる日も、そう遠くないでしょう。

 授業では「歌は記憶の扉を開ける鍵です」と、たびたび話してきました。またこの歌と共に浮かんでくる風景は「メモリー・スケープ」(記憶の風景)としても、研究の一素材になっています(参照:小泉恭子『メモリー・スケープ 「あの頃」を呼び起こす音楽』みすず書房)。授業の“2次会”では、池袋駅前のカラオケで歌の復習をしましたね。各期の皆さんの歌声とクラスメイトの手拍子、そして素敵な笑顔は、いまも目に浮かんできます。Aさんの「恍惚のブルース」(青江美奈)や、Sさんの「青春の影」(チューリップ)は、忘れられません。それらは、皆さんと共有している大切なメモリー・スケープです。

 歌に限らず、セカンドステージ大学の各授業で配布された資料や、修了論文をまとめる際に読んだ本なども、皆さんのメモリー・スケープとして刻まれていることでしょう。ホームカミングデーでは、クラスメイトとの旧交を温めつつ、在学中に聴いていた音楽と共にそれぞれのキャンパスライフの思い出を存分に語りあってください。そのひとときがまた、貴重なメモリー・スケープになっていくはずです。皆さんの歌声を聴きたいです。またいつかご一緒しましょう。

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編集チーム 十五期生