熱心な学ぶ姿勢に感動

袖井孝子(お茶の水女子大学名誉教授)

 私が立教セカンドステージ大学で教えたのは、第1期(2008年度)から第7期(2014年度)まで。老年期の家族関係について講義をいたしました。授業開始の日、ぴったりの時間に教室に行ってみると、すでに全員が着席していました。お茶大では、5分過ぎくらいからぼちぼち集まり、全員がそろうのは10分過ぎくらいです。次には、5分前に行ってみたところ、すでに全員がそろっていました。3回目には、10分前に行ってみたら、前の授業が終わっていなくて、何人かが廊下で待っていました。

 通常、学部学生の場合には後ろのほうから席が埋まるのですが、セカンドステージ大学の学生では前のほうから埋まっていきます。教壇の真下で、目を輝かせている姿を見ると、学ぶことへの熱意と真剣さに感動させられます。

 受講生には、定年退職後の男性が多くみられましたが、私が注目したのは、中高年の女性たちでした。彼女たちの中は、「女に学問は無用」という時代背景のために、高校や短大で終わってしまったことへの悔しさや怨念を抱いてきた人が少なくありません。「私よりも成績の良くない兄や弟が進学したのに、私だけが進学できなかった」と言う女性もいました。

 彼女たちは、図書館や学生食堂を利用してキャンパスライフを楽しみ、ゼミやその後の飲み会をエンジョイしていました。まさに青春再びです。こういう姿をみて私は、いかに日本の女性たちが、学ぶ機会を奪われてきたのかを痛感させられました。

 立教セカンドステージ大学が、学ぶ機会のなかった人、あるいは学ぶ機会はあったのにアルバイトやレジャーで十分学ばなかった人に、これまでの人生を振り返り、これからの長い人生をいかに生きるかを考えさせる機会を提供し続けていくことを期待しております。

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編集チーム 十五期生