鳥飼玖美子( 立教大学名誉教授)
立教に新しくセカンドステージ大学が開設され関わったときの驚きは、私の中で強烈な記憶として残っています。
一言で表現すると、受講生の方々の知的好奇心と情熱が、年相応を是とする日本社会の常識を覆すほどだったからです。ともかく熱意に溢れ、ゼミでは過去の経験をふまえて未来を見据える議論が丁々発止。全カリ授業ではどんどん発言し、学部生の度肝を抜きました。
私は常々、日本は年齢を意識し過ぎだと感じてきました。世界をみれば、シニア世代の活躍は目覚ましい。アメリカの連邦最高裁判事だったギンスバーグさん(RBG=Ruth Bader Ginsburg)は、87歳で亡くなるまで現役で、女性の権利を守るため社会に貢献していました。仕事の有無にかかわらず、スポーツや歌やダンスなど、好きなことに夢中になるのは、70代でも80代でも同じです。
ところが日本のシニアは、二言目には「歳のせいで、記憶できない」「歳だから、仕方ない」と、できないことを年齢に結びつけるし、周囲も「歳なんだから、無理しないで」と一見、思いやりがありそうな、でも突き詰めれば年齢で制約を設けます。政治家などは高齢者が多く権力を行使し過ぎて「老害」とされますが、セカンドステージ大学で顕著なのは、純粋な知的好奇心の旺盛さです。
「学びたい」という意欲に、年齢は関係ないことを、セカンドステージ大学は見事に証明してくれました。