ヨーロッパこの200年

3期生 神山 利

 この9月、高校時代の友人から、彼の著書「ヨーロッパ近現代の200年 くらべて楽しむ地図帳」が届いた。地図でくらべてみると、この200年間の激動の歴史が分るという。

 約200年前の1815年、フランス革命とナポレオン戦争後の国際秩序を求めて、「ウィーン会議」が開かれた。

 その当時の地図を見てみると、ヨーロッパはまだ「オーストリア帝国」を始め帝国・王国の時代であった。

 その後、二つの世界大戦で歴史は大きく動き、地図もその都度大きく変わってきた。戦争が領土や国境に大きく関わっていることが良く判る。ソ連の崩壊という政治体制の変化、そして民族紛争も地図に変化を与えている。この200年間、ナショナリズムが地図を変えてきたとも言える。

 陸続きのヨーロッパは紛争のたびに地図が書き換えられているが、海に囲まれた島国の日本人にはなかなか理解できないところだ。ヨーロッパで「ある家の表から入って、裏から出るとそこは隣りの国だった」という笑い話がある。

 現実に戻って見ると、ロシアのウクライナ侵攻が始まってから1年半が経った。民族問題・宗教問題そして専制国家トップの歴史観が相俟って問題は複雑化している。かつて、ポーランドがドイツとロシア(ソ連)の狭間で東西強国に蹂躙されてきた歴史もある。歴史は必ず地図の上に刻まれる。

 この地図帳に、あのグレース・ケリーの「モナコ公国」を見つけた。「モナコ公国」は、この200年間その領土は変わっていないことに気が付いた。小国なりの知恵があったのだろう。地図を見ていると色々と想像が膨らんでくる。

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編集チーム 十四期生