最近、藤井風やウェストランド(千鳥も)など、地元・岡山勢の活躍を嬉しく思っているところだが、今日は、私の関わっている読書関係(若者向けが多い)で少し、現代活躍中の作家紹介を。。

まず、最近、日本芸術院賞受賞した小川洋子。『妊娠カレンダー』で芥川賞を受賞し、『博士の愛した数式』(新潮社/下写真左)は第一回本屋大賞受賞、青少年読書感想文コンクールの課題図書にもなり映画化もされた。数々の文学賞受賞とともに、数々の文学賞の選考委員も務めている。外国で翻訳されているものも多く、ノーベル賞も期待したいところ。

小出鞠るいは、初期は『欲しいのはあなただけ』などの抒情的な恋愛小説が多かったが、近年は小中学生を対象として現代の問題をモチーフにした作品を次々と刊行している。『ある晴れた夏の朝』(ポプラ社/上写真中)は原爆をテーマにアメリカの高校生がディベートを行う作品で、これも青少年読書感想文課題図書となり、昨年は英訳本も出版された。訳者は夫のグレン・サリバン。彼女は今、アメリカ・ニューヨーク州ウッドストック在住だ。『アップルソング』は岡山空襲から2011/9/11を駆け抜けた女性の一代記。戦後から現代、未来へとつながるスケールの大きい小説だ。

原田マハは、キュレーターとしての経歴も活かし、美術ミステリーともいうべきジャンルでも活躍している。『楽園のカンヴァス』(山本周五郎賞受賞)『ジベルニーの食卓』『暗黙のゲルニカ』(新潮社/上写真右)『美しき愚か者たちのタブロー』は、それぞれ直木賞候補となった。これらの作品から絵画や画家たちに興味をもったものも多いことだろう。『でーれーガールズ』は岡山を舞台とした高校生たちの物語で、市内電車や懐かしい喫茶店なども描かれ、岡山人にはたまらないが、思春期の友情・恋に共感する人も多いと思う。兄は原田宗典。『17歳だった』で自分の高校生時代を描いている。

幻想文学では山尾悠子。幻想的でシュール、現代詩から取り入れた硬質で精密な文体は小松左京や筒井康隆にも絶賛され、全集も出版されている。『飛ぶ孔雀』は泉鏡花文学賞、日本SF大賞、芸術選奨文部科学大臣賞受賞。

翻訳家としては金原瑞人。YA(ヤングアダルト)文学を牽引してきた。『青空の向こう』『豚の死なない日』など。彼の訳した本は多く青少年読書感想文課題図書にもなっている。『蛇にピアス』で芥川賞を受賞した金原ひとみは娘である。最近では、ライトノベルからYA文学に進出してきた天川栄人。昨年出版された『おにのまつり』は、岡山の祭り「うらじゃ」がモチーフとしてある。4月にはで高校生の天文部を舞台とした『セントエルモの光』を刊行し、これからが楽しみな作家だ。劇作家の坂手洋二、歴史家の磯田道史も多くの本を出版している。

児童文学では村中李衣。『あららのはたけ』で一昨年度の坪田譲治文学賞を受賞。女性受刑者との読み合いの様子はNHKでも紹介された。

ここまでは、岡山市ゆかりの作家たちの紹介だが、県に広げれば、『バッテリー』のあさのあつこ。『M8』『首都感染』(講談社)などの高嶋哲夫。『とんび』(KADOKAWA/左写真)の重松清。エッセイストの平松洋子、児童文学の八束澄子がいる

岡山市は、全国に先駆けて学校図書館に司書を配置してきた。そのような岡山の文化も背景にあるのだと思う。岡山に来られたら文学散歩のご案内をいたします。<参考:文学創造都市岡山 ⇚click>
(7期岡山県在住 高見 京子) 

【事務局記/投稿者プロフィール】
2013年まで38年間、岡山県高等学校国語科教諭、司書教諭などを務め退職。退職後は東京や地元などで大学非常勤講師。公益社団法人 全国学校図書館協議会スーパーバイザー、ビブリオバトル普及委員。
出所:投稿者著書の『「探究」の学びを推進する高校授業改革 学校図書館を活用して「深い学び」を実現する』の筆者紹介より事務局抜粋。

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