「10期千石ゼミ」は、2018年に本科が修了したのち、それから5年に及ぶ現在に至るまで、研究活動が続いています。研究活動とは、メンバー9名がローテーションで、2か月に一度、自分の関心事をまずは客観的に説明して、そのあとはテーマへの思いをそれぞれに熱く語ることです。これまでのテーマを抜粋していくつか紹介してみますと-
・「瓦谷戸窯跡における馬の線刻画の研究(大学卒業論文発表)」、・「ユン東柱と戦時下のミッションスクール」、・「西洋建築の歴史」、・「ひろしま(原爆投下によって)」、・「制限された環境下での表現の希求(修士論文発表)」、・「お伊勢参り」、・「傾聴について」、・「憲法を学ぼう」、・「東京2020大会が終わって」、・「マンションの老朽化を考える」、・「東京都美術館でのボランティア活動と対話型鑑賞法の紹介」、・「制限された女性の教育機会」、・「デジタルシニアの孤食の現状とテクノロジーの可能性と考察(修士論文発表)」などなど、ほんの一部です。
但し、活動内容は、これだけではありません。RSSC在学時に作成した文章で記述しますと。
「アカデミアの深遠なる世界に浸り、学び得ることの至福に酩酊するは我が千石ゼミの全学友なり。(中略)されど、われら学びの舎の徒ばかりにあらず。学窓より書を置きて街に出るや、谷中夕やけだんだんを下り、皆でコロッケを食しては、美味!東京芸術大学奏楽堂にてJAZZに耳を傾け、なお「繪処アランウエスト」のアトリエにて屏風絵、掛軸を拝しては、米国人の表わしたる日の本を知るに及ぶ。これまさにリベラルアーツの実践なりや」
ということで、発表の合間の今回の課外活動は、久々の対面活動で、千葉県松戸市の「戸定邸/旧徳川昭武庭園」を訪れました。そこは最後の将軍、徳川慶喜の弟である昭武の邸宅。江戸川を望む高台に建つ9棟の建屋が廊下で結ばれた、部屋数23を数える屋敷で、当時の昭武の生活を偲ばせます。邸の前には、ヨーロッパ帰りの昭武が西洋の様式を取り入れた広大な庭園がひろがり、みなで散策を。
さて、歴史の勉強の後は、次なる学習のために、メンバー宅に移動。そこで私たちを待ち受けていた本日の重点課題とは―食の学習。すなわち共に食することの意義の探索。いいえ、単なるメンバー宅の庭でのバーベキュー。裏の畑で採れた野菜も食材に加えて、飲んで、焼いて、食べて、話して、話して、食べて、焼いて、飲んで。ありふれた食材さえもが、こんなに美味しく感じられるのはどうしてなんでしょう。いつものウィンナーなのに。これが共食の意義?
学び、考え、語らいながら、時に、歩き、鑑賞し、まれに国境を越え、飲んで、食べて、話す。こうしたゆるい繋がりが持続していることの僥倖をメンバーの誰しもが謝して、また、秘かに誇らしく思う。ただ、こうした9人のハーモニーを保っていられるのは、なによりも4名の女性たちのおかげだった。
10期生 今井敏晴
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