RSSC終了後、気ままにセカンドライフを過ごしていましたが、年々体力の低下と共に物忘れも気になり始め、手先を動かすことが認知機能に良いのではないか、また同時に趣味の幅も広げられると思い数年前から「水墨画」を始めました。

最初は墨と筆の使い方の練習からでしたが、取り組んだ画題は「竹」で濃淡数種類の墨を筆に含ませ葉や幹の明暗や遠近などを一筆で仕上げる、上塗り(二度書き)してはならなく、何枚も書き直してようやく第一号作品(右)が仕上がりました。絵画などこれまでは何度も上書きして完成させていくのが普通と思っていましたが水墨画では書道と同様に一筆書きが基本、バランスを考慮しつつ一気に書き下ろす筆使いが必要で、集中力が求められます。何度も失敗を繰り返しながら出来の良い作品が出来るとそれなりに達成感を感じられました。

二回目からの画題は「蘭」「菊」「梅」と続き、「竹」を合わせて四季を表す「四君子」と言われている。春を表す「蘭」は清楚で控えめな姿が「善人蘭の如し」と善人の象徴とされ、夏を表す「竹」は年中変わらない常葉を保ち、不屈の忍耐力やさっぱりした気性でわだかまりのない人格の象徴、秋を表す「菊」は精気を益し、万物を生成する根源とされ延命長寿の象徴、冬を表す「梅」は厳寒に強く春一番に咲く花で寒中に美を養い他に先駆けて鮮やかに咲く強靭さの象徴とされている。

また君子とは人徳、学識、礼儀に優れた人で、4種の草木は気品の高い美しさを備え君子の特徴をもっていることから草木の中の「四君子」に例えられたとのことである。この4種の画題に相当な時間を費やしたが、水墨画の基本になっている。

 

 

 

 

 

指導を受けた先生は定年退職後に趣味で始めたとのことでしたが、私が入門した当時は95歳でその年に日展入選を果たしている。選考委員から出展者リストを見て65歳の間違いではないかと話題になったようだと苦笑されていたが、とてもお元気で若い。リタイア後に始めた水墨画も30年程となり、今では独自の技法も確立されている。好きなことに長く向上心を持ってこられたことが、若さを維持している一因になっているのではないか? 出来れば自分もそうありたいと思う。水墨画は奥が深くまだ入口に入ったところであるが、いつでもまた年齢を重ねても出来るので続けてみたいと思っている。
(7期生 井上敬滋)

 

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