第11回『あどカフェ』勉強会(ZOOM形式)が、当研究会顧問の箕口先生のご指導の下、「対話実践とアドラー心理学(その4)」とのテーマで開催されました(日時:2021年10月30日土曜日14時~16時30分、参加者:講師の箕口先生、TA・進行役の青木代表・五十嵐副代表を含め14名)。

 勉強会はまず、参加者全員による1分間の近況報告から始まり、各人の緊張感が和らぎ、同時に“場の雰囲気“を和ませる効果もありました。その後、本題である箕口先生による「オープンダイアローグ」における「対話実践」に関する講義が、資料を画面共有しながら始まりました。

 今回の勉強会の主たる目的は、前回まで学んできた「オープンダイアローグ」での「対話実践」を、ロールプレイ・ワークを通して実際に体験し、理解を深め、その意味を考えてみるという意欲的なものでありました。さらにこの「対話実践」が、アドラー心理学で重要視される共同体感覚(所属感・貢献感・信頼感)を、相互に醸成・育成しうることを実感できればとの期待感もありました。

 これまでの勉強会では、「オープンダイアローグ」とは、フィンランド・西ラップランド地方で開発され、成果を上げている精神疾患(特に統合失調症)への治療的なネットワークアプローチであり、その介入手法である「対話実践」が、今国際的にも注目され、学校や職場、家庭等、医療以外の領域でも応用されていることを学びました。

 今回の勉強会の前半の講義では、「対話実践」を行う際に知っておくべき基本概念やスキル・ルールの解説が行われました。具体的には、1)オープンダイアローグの5つの柱(①対話を続けるだけでいい、②計画は立てない、③個人ではなくチームで行う、④「聴く」と「話す」を分ける、⑤ハーモニーでなくポリフォニー)、2)対話実践のための基本スキル(①イメージしながら傾聴する、②理解のための質問をする、③反応・応答しながら傾聴する、④「内閉イメージ」=内的対話・体感覚の観察と表明)、3)リフレクティングトークの意義・ルール(①その場の会話内容から反応・解釈する、②I=アイ・メッセージの使用、③参加者に対して否定的なことは言わない、④チームメンバー同士で向き合って話し、チーム以外の聞いている人には視線を向けない)に関する講義でありました。

 勉強会後半の1時間では、いよいよロールプレイ・ワークを3グループ(1グループ4~5人で、話し手:1人、聞き手:2人、オブザーバー:1~2人)に分かれて実施しました。①まず、話し手が20分、「RSSCをきっかけに始めたこと、または始めてみたいこと」について自由に話し、聞き手チームは応答しながら話を進めました。②20分間の対話が終わると、聞き手チームだけで5分間のリフレクティング(その場で感じたことをアイ・メッセージで語る)を行い、③その後5分間、話し手が感想を語りました。④最後にオブザーバーが、対話を観察して感じたことを5分間述べた後、⑤グループ全員で10分間、体験結果の共有を行い、ロールプレイ・ワークを終了しました。

 ロールプレイ終了後は、各グループのロールプレイ体験の様子や感想を、オブザーバーを中心にそれぞれ報告してもらい、参加者全員で、体験結果を共有し、勉強会を終了しました。

 参加者の感想としては、①傾聴や頷き・応答の重要さを再確認できた、②話しきる、聴ききることの気持ちよさを感じた、③個人間の閉ざされた関係よりチームでの対応(開かれた関係)がより濃い内容の話につながり、関係者全員に何か温かい感情を抱かせたなど、ロールプレイ・ワークに関する肯定的な感想が多く聞かれました。その意味で、概ね勉強会の目的は達成されたといえるのではないでしょうか。

(文責:北原)