ニュー・ノーマル 

 2020年度から立教セカンドステージ大学(RSSC)に関わるようになりました松本です。きっかけは、前年の2019年にRSSCからのアンケートに答えたことです。このアンケートは学内で現役の教員に向けてRSSC担当の意向を訊ねるもので毎年行われています。私は2019年度まで社会学部の専任教員で、2020年3月末で定年退職予定でした。したがってアンケートの対象からは外れるのですが、全学共通カリキュラムでやっている講義のようなものなら提供できますと、シラバスを付けて回答しました。すると、RSSCからその内容でよいので「都市社会学の問い」という講義題目で2020年度担当してほしいとのオファーがありました。2020年度は学部の卒業論文演習と大学院の授業科目以外に担当がなかったので喜んでお引き受けすることにしました。
 明けて2020年になるとCOVID-19の感染拡大が始まりました。3月末までに社会学部の研究室を明け渡さなければならなかったため、平日は毎日、池袋に通い研究室の片付けをしておりました。3月も末になると街を行く人の数も目立って減少し、4月になるとすぐに緊急事態宣言となりました。私自身はもともと永遠のステイホームに転換するところでしたので、これをきっかけにそれまでの毎日大学に出るパターンから基本的に自宅にひきこもるニュー・ノーマルに大転換することになりました。社会の転換期と人生の転換期が重なったのはまったくの偶然ですが、そのために2019年以前の現役時代が遠い過去の出来事のように感じられます。社会はニュー・ノーマルに堪えきれず、政府は前のめりになって失策を繰り返し、いまではニュー・ノーマルと言う言葉さえ聞かれなくなりました。しかし、私にとってニュー・ノーマルは定年退職後の新生活を意味するもので、案外自分にはあっているのではないかと思い始めています。
 

松本 康